細田善彦、栄信、落合モトキ 『ニッポンノワール』で異彩を放った若きバイプレイヤーたち
登場人物の誰も彼もがフルスロットルのハイテンションで、驚天動地の展開が続いている『ニッポンノワール ー刑事Yの反乱ー』(日本テレビ系)。本作には、あまりにも“ヤバい奴ら”が集っている(といっても、次から次へと凶弾に倒れているのだが……)。ここではその中でも、ひときわ異彩を放つ俳優の細田善彦、栄信、落合モトキの存在についてみていきたい。
“人体実験”、“人格矯正プログラム”、“ニッポンノワール”……等々、いくつもの禍々しい言葉が少年マンガ的なテンションで飛び交う本作『ニッポンノワール』は、今年の頭に放送され、先の読めない展開が話題をさらった『3年A組 ー今から皆さんは、人質ですー』(日本テレビ系)と世界観を共有している。今作で描かれているのは、『3年A組』内で起きた「魁皇高校立てこもり事件」の半年後の世界。同作から同じ役でレギュラー出演していたのが細田善彦と栄信だ。彼らは今後「回想」というかたち以外での登場は望めないところだが、これまで大いに展開を盛り上げてくれた2人である。
細田が演じていたのは、警視庁捜査一課の刑事・宮城遼一。彼はかなりの熱血漢で、行き過ぎた正義感から主人公の遊佐清春(賀来賢人)と対立し、それが毎話の見どころの一つともなっていた。ところが、彼はかつて少年期に殺人を犯し、人格矯正プログラムによって“作り変えられた人間”だったことが判明。これには彼自身も筆者も(そしておそらく誰もが)驚きを隠せず、今後の動向に注目が集まっていたところなのだが、猟奇的な刑事・眞木光流(矢本悠馬)に射殺されてしまったのだ(ちなみに、矢本の変幻自在なプレイヤーぶりは今作でも健在である)。
物語はいよいよ佳境へと突入し、ここからの作品の熱量キープは主演の賀来にかかっている。だが、ここまで彼と“犬猿の仲”の構図をつくり、その存在感を示し展開を牽引していたのが細田なのだ。高い熱量でこのポジションを担っていた細田なだけに、彼の退場は実に惜しい。細田といえば、『ライフ〜壮絶なイジメと闘う少女の物語〜』(2007/フジテレビ系)でサイコな高校生役を演じ注目を浴びて以降、堅実にキャリアを積み上げてきた。これまで脇から支える役どころが多かったが、これはどの作品においても細田が、いかなるポジションにも適応できる証ともなっている。今年は主演映画が2作公開されたうえ、今作での存在感の爆発もあって、来年はまた大きな転機を迎えそうである。
そして細田と同じく、『3年A組』から続投していたのが栄信だ。彼が演じたのは、半グレ集団“ベルムズ”の元リーダー・“K”こと喜志正臣。本作で栄信のことを認識したという方も多いのではないだろうか。すでにキャリアは10年を超えているのだが、ドラマへの登場はゲスト出演といったかたちがほとんどだった。昨年であれば『アンナチュラル』(TBS系)や『家政夫のミタゾノ 第2シリーズ』(テレビ朝日系)、今年は『Iターン』(テレビ東京系)などに単発ゲストとして顔を見せている。
代表作である『仮面ライダービルド』(2017-2018/テレビ朝日系)など、かねてより彼の存在を追っていた方にとって、今年は実に頼もしい一年だっただろう。一年の始まりと終わりに放送された地上波作品でキーマンを演じたことは、彼のキャリアとしても大きいし、“続投”という事実から、その信頼度の高さもうかがえる。前作での喜志はかなりの悪役だったが、今作では改心。人間味を垣間見せるようにもなっていたのだからこそ、もっと栄信の芝居が見たかった、というのが正直な想いである。