『グランメゾン東京』よくある物語なのになぜこんなに面白い? “中年パーティーの冒険”に惹かれる理由
中年の彼らはみんな、欲しかったけれど手に入らなかったもの、失ってしまったものへの思いを抱えて、グランメゾン東京に集まってきている。三つ星。才能。一緒に暮らす家族。歳を重ねるというのは、そんな風に、どんなに努力しても届かない願いがあるのを知っているということでもあります。だから経験して学習した普通の大人は、もう今更無理や無茶をせず、おとなしく安全な道を歩く。
けれどこの人たちはその道を選ばない。いわば、中年になった孫悟空がもう一度よたよたときんと雲に乗って空を飛ぼうとしているようなものですが、その無茶さにどうしようもなく惹かれます。彼らが悩み、解決して喜ぶときの、目尻の笑い皺にうれしくなります。大人になっても、こんな風にまた冒険してもいいのだと、日曜の夜に元気な気持ちになります。
第7話のラストで京野さんの告白から「恋」という新しいクエストも始まって、ますますその中年パーティーの冒険が盛り上がりそう。個人的には、三角関係や恋愛関係にはならずに、尾花と倫子さんはこのまま仕事上のバディとして仲良く喧嘩している方が大人としてかっこいい気がしますが、どうでしょう。
■渡辺裕子(わたなべひろこ)
TVドラマ好きイラストレーター。「月刊ローチケHMV」などで、コラム連載中。
ツイッター:https://twitter.com/satohi11
■放送情報
日曜劇場『グランメゾン東京』
TBS系にて、毎週日曜21:00~21:54
出演:木村拓哉、鈴木京香、玉森裕太(Kis-My-Ft2)、尾上菊之助、及川光博、沢村一樹
脚本:黒岩勉
プロデュース:伊與田英徳、東仲恵吾
演出:塚原あゆ子ほか
製作著作:TBS
(c)TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/grandmaisontokyo/