『ジェミニマン』監督が語る、最新技術への挑戦 「新しい映像を観たいという好奇心が原動力に」
「哲学的な意味においても今までにない体験」
ーー本作の、自分と自分の若いクローンが対峙するというストーリーには、リー監督のパーソナルな思いも込められているのでしょうか?
リー:明らかにそうだね(笑)。業界ではよく言われることだけど、主演俳優というのは監督をよりイケメンにしたものなんだ(笑)。男が過去を振り返るというドラマもあるけれど、育ちと遺伝のどちらが人間に影響を与えるのかという問いかけにもなっていると思う。
ーークローン技術を人間に応用することについても考えさせられます。
リー:その通り。クローン技術のモラルや、自分の過去の痛みを消し去ることの是非も問われている。スミス演じるヘンリーや、『ハルク』にも通じる部分があると思うけど、人とうまく関係を築くために自分の真の姿というものを封じ込めることがあるよね。奥底にある自分自身と対峙するとは、年を取っていくこととはどういうことなのか……様々なことを観客に問いかける映画になっている。デジタル技術のおかげで、それら全てを映像で表現できたんだ。観客のみんなにとっても、エンターテインメント映画としてはもちろん、哲学的な意味においても今までにない体験ができると思っているよ。
(取材・文=島田怜於)
■公開情報
『ジェミニマン』
全国公開中
監督:アン・リー
製作:ジェリー・ブラッカイマー
出演:ウィル・スミス、メアリー・エリザベス・ウィンステッド、クライブ・オーウェン、ベネディクト・ウォン
配給:東和ピクチャーズ
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公式サイト:geminiman.jp