『IT/イット』ビル・スカルスガルド&アンディ・ムスキエティ監督が明かす、ペニーワイズの秘密

ビル・スカルスガルド「僕の仕事はキャラクターを怖がらせること」

ーー今回はルーザーズ・クラブの子供時代と大人時代、どちらとも共演シーンがありましたが、それぞれの撮影を振り返っていかがですか?

スカルスガルド:ふたつの面があると思った。彼らはいま大人だから、怖いと感じることも、大人なりのことになっている。だけど、彼らの中には未熟な部分もある。この映画が見せるように、彼らは大人として完全には機能していない。子供の頃の恐怖体験を拭い去ることができないんだよ。それでペニーワイズはしょっちゅう「僕は君を知っているよ。君は怖がっている小さな子供だ」と言う。そうやって彼は大人になったルーザーたちを挑発するんだ。「君はこんなふうを装っているけど、実際は違うんだぞ」とね。その実際の姿とは恐怖であり、子供時代のトラウマだ。つまりペニーワイズは、彼らを大人として見ておらず、ただキャラクターとして見ているんだよ。スタンリーはスタンリー、ビルはビルというようにね。ペニーワイズにしてみたら同じなんだ。彼は、人と同じ形で年齢を認識しないんだと思う。それに、この映画は本当に見事なキャスティングをしたので、大人版と子供版がちゃんと同じ人に見えるよね? そして彼らは、勝つために子供の頃のトラウマを乗り越えないといけないんだ。

ーー大人を怖がらせるのは子供を怖がらせるよりも難しかったですか?

スカルスガルド:僕の仕事は共演者を怖がらせることではなくて、キャラクターを怖がらせること。だから、アプローチは今回も前回も同じなんだ。もちろんいくつか新しいやり方も使ったけどね。普通は共演者のおかげでいい演技ができるようになるものだけど、ペニーワイズは全然そうじゃない。彼は、共演者に向かって自分のパフォーマンスをするんだ。すごく奇妙なことだけど、ペニーワイズはそういうキャラクターなんだよ。

ーーフラッシュバックのシーンでは特殊メイクなしの顔も初披露されました。

スカルスガルド:違うメイクだけど、あれでもまだメイクはしているんだ(笑)。でもすごく楽しい経験だったね。実は撮影前には一度も試さず、撮影当日に初めてあのメイクをやったんだ。あれが何なのかよくわからないけれども、僕はあのルックスが自分でもとても気に入っていて、写真も撮ったし、良い気分でセットを歩き回った。彼はなにか別のもので、完全にペニーワイズではない。今回の撮影では何度も頭が爆発しそうになったけど、あのシーンもそのひとつだった。もとの脚本は違っていて、実際は僕が即興でやったものが本編に使われたんだ。現場で、あんな奇妙で怪物的なものになっていったんだ。

(文=宮川翔)

■公開情報
『IT/イットTHE END “それ”が見えたら、終わり。』
11月1日(金)公開
監督:アンディ・ムスキエティ
原作:スティーヴン・キング
脚本:ゲイリー・ドーベルマン
出演:ビル・スカルスガルド、ジェームズ・マカヴォイ、ジェシカ・チャスティン、ビル・ヘイダー、イザイア・ムスタファ、ジェイ・ライアン、ジェームズ・ランソン、アンディ・ビーンほか
配給:ワーナー・ブラザース映画
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公式サイト:http://itthemovie.jp
公式Twitter:https://twitter.com/IT_OWARI

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