『監察医 朝顔』フジテレビの“時代に寄り添う”手腕が発揮? 高視聴率を獲得した理由とは

 上野樹里、時任三郎、風間俊介という3人のメインキャストの演技にも絶賛の声が寄せられた。特に上野樹里は、『のだめカンタービレ』(2006年)以来13年ぶりの月9主演となり、当時とはまたイメージの異なる朝顔というキャラクターを真摯に演じた。

「上野さん、時任さん、風間さんは3人ともしっかりお芝居ができる人で、スター性を全面に押し出すことなく、役にすっと入れる役者だと思います。また職場の人たちも中尾明慶さんや志田未来さんなど若いながらもお芝居のうまい方たちが揃っていて、そこに山口智子さんが違う角度で入ってきたり、平岩紙さんも巧いし、全体のバランスも含めてなかなか得難いキャスティングだったと思います。

 特にやっぱり上野さんは本当にすごい方だなと。『のだめ』にはつい振り切れたイメージを抱いてしまいますが、のだめは本来、天才でピアノに真面目に向き合っていて圧倒的な力を発揮するけど、それ以外の時はおとぼけキャラという人。それを上野さんはしっかりやっていて、当時から力のある人だなと感じていました。また、最近それほどたくさんの作品に出ていたわけではなかったのもよかったかもしれませんね。先入観もいっさいなく、視聴者も朝顔として受け止められる。物語と企画的な意図にしっかりはまっていたと思います。また、風間さんとも相性がよかったのではないでしょうか。最初のほう、朝顔が我慢しているところを桑原が代わりに泣くシーンがありましたが、脚本においてもうまく役割分担ができていて、2人の繋がりも出るし、ゆくゆくは結ばれて家族になっていくに値する関係性が序盤から描かれていました。脚本の根本ノンジさんは、最近だと『サ道』や『フルーツ宅配便』(共にテレビ東京系)も手がけています。ベタベタしないヒューマンドラマをしっかり書ける方で、ドライな目線もありつつ、生きている人のリアリティや生々しさを描いていて、個人的にも注目しています」

 今夜放送の特別編では、本編のその後を描き、新たな事件が起こる一方で、朝顔と桑原の出会いも明かされるという。震災のあの日から一歩踏み出した朝顔たちのその先に待つ未来にも注目だ。

(文=若田悠希)

■放送情報
『監察医 朝顔 特別編~夏の終わり、そして~』
フジテレビ系にて、9月30日(月)21:00〜放送
出演:上野樹里、時任三郎、風間俊介、志田未来、中尾明慶、森本慎太郎(SixTONES/ジャニーズJr.)、坂ノ上茜、喜多乃 愛、宮本茉由、戸次重幸、平岩紙、三宅弘城、板尾創路、柄本明ほか
原作:香川まさひと
漫画:木村直巳
監修:佐藤喜宣『監察医 朝顔』(実業之日本社)
脚本:根本ノンジ
法医学監修:上村公一(東京医科歯科大学)
プロデュース:金城綾香
演出:平野眞、澤田鎌作
制作:フジテレビ
(c)フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/asagao/

関連記事