『なつぞら』がついに最終週へ 泰樹から剛男、そしてなつと千遥へ受け継がれた開拓魂
『なつぞら』(NHK総合)のタイトルは、第1週「なつよ、ここが十勝だ」から定型として、内村光良がナレーションを務めるなつ(広瀬すず)の父が語りかける形で付けられている。しかし、第25週だけは特別。「なつよ、千遥よ、咲太郎よ」と、奥原3兄妹に呼びかけるようなタイトルが付けられていた。
神楽坂の料亭・杉乃屋に女将として嫁いだ千遥(清原果耶)。なつと咲太郎(岡田将生)は千遥の作った天丼を食べて、父の後ろ姿、そして母(戸田菜穂)の存在を思い出す。「今も一緒にいる」という父からの思いが込められた手紙が千遥にも受け継がれ、嘘をつかずに堂々と生きられるようになりたいと千遥は夫との離婚を決意し、なつたちと再び家族へと戻っていく。周りの人に恵まれた環境にいながらも、自身の人生を見出す千遥の姿はなつや咲太郎のような強くぶれない心を感じさせる。第25週の中心にいるのは千遥だが、「なつよ、千遥よ、咲太郎よ」というタイトルからは、兄妹3人の物語、言うなれば父母も含めた奥原家の週であったようにも思える。
第25週のラスト、第150話で兄妹の見届け人として十勝からやって来るのが剛男(藤木直人)だ。もともと、剛男は戦友だったなつの父と交わした「どちらかが亡くなった時は互いの家族の面倒を見る」という約束を果たし、なつを十勝に連れてきた。咲太郎と千遥のその後を見届ける義理が、剛男にはあるのだ。柴田家に忘れたワンピースを千遥に返す剛男。千遥の娘・千夏(粟野咲莉)を見て「子供の頃のなつにそっくり」と話す様子や、父の料理人としての腕が受け継がれた千遥の天丼を食べている剛男の姿は、第1週からの経過を考えれば感慨深いものがある。と同時に、剛男がいなければなつたちはまた別々の道を辿っていたかもしれない。なつが話す通りに、剛男も間違いなく強くて優しい開拓者の魂が宿った一人だ。
多忙ななつの仕事と子育ての環境を剛男が伝え、泰樹(草刈正雄)の後押しで富士子(松嶋菜々子)が家政婦として東京にやって来ることに。松嶋菜々子と家政婦と言えば、2011年に社会現象を巻き起こした『家政婦のミタ』(日本テレビ系)。まさかの富士子の扱いにTwitterのトレンドには「家政婦のミタ」がランクインしたほどだ。第150話の時期は、昭和50年の春。なつが手がける『大草原の少女ソラ』の制作が6月に終わり、その先の夏休みには千遥と千夏を連れて、十勝に帰る約束がある。富士子から泰樹にもその計画は伝えられていた。