『なつぞら』中川大志の「大好きです」が広瀬すずに届く 次週は泰樹と坂場の関係に注目
『なつぞら』(NHK総合)第18週「なつよ、どうするプロポーズ」は、なつ(広瀬すずと亜矢美(山口智子)による花嫁衣装の話題から始まり、下山(川島明)と茜(渡辺麻友)の電撃結婚とそのタイトルに違わぬ展開で進んでいく。ラストはなつが坂場(中川大志)からのプロポーズを受け入れ、東洋動画の面々に祝福されながら、なつのもう一つの故郷・北海道十勝へと向かい第19週「なつよ、開拓者の郷へ」に繋がるといった内容だ。
第17週「なつよ、テレビ漫画の幕開けだ」第101回にて、雪次郎(山田裕貴)が蘭子(鈴木杏樹)へ思いの丈をぶつけた際、「なつよ、君は正直に誰かに気持ちを伝える日が来るのか?」というナレーションが流れたが、思いの外その瞬間は遠くない未来にやってくる(とは言え、第106回にて残り1分で“加速装置”と話題のカレンダーをめくる演出で一気に半年が過ぎるわけだが)。
坂場は「長編映画を成功させたら結婚してほしい」となつと約束していたが、演出を務めた『神をつかんだ少年クリフ』は不入りに終わってしまう。その結果を受けて、「幸せにする才能がない自分は結婚はできない」となつに伝える。「同志でいることが一番いいんだわ」と以前なつが言っていた通りに、なつと坂場はアニメーションに対して同じ熱量を持っていたが、そのことがネックとなり互いの思いを量れずにいた。だからこそ、結婚の約束を解消されたことに、思いの丈を爆発させるなつの正直な姿からは、生きる力を持った坂場への同志を超えた尊敬と愛が伝わって来る。
「奥原なつ」という大事な存在を失ったことに気づいた坂場が辿り着いた答えは、なつのことが好きだということ。なつの兄・咲太郎(岡田将生)と亜矢美が見守る中、臆せず「あなたのことが大好きです」と伝える坂場。あれだけ理屈っぽかった坂場が、至極シンプルな感情を露わにする様は、なつと出会い彼も少しずつ変化していることを感じさせる。
「もう遅いんじゃないかな」とプロポーズを認めない、認めたくない咲太郎に、亜矢美は「遅くない! まだ生きてるんだから、いっくら間違えたっていいの!」となつに近づく。第18週では、亜矢美に結婚の約束をしていた伊崎という人物がいたことが明らかになる。しかし、伊崎は学徒出陣で帰らぬ人に。だからこそ「生きてるんだから」となつの結婚を心から喜ぶ亜矢美の言葉は説得力を持つ。
最終的に2人の結婚を祝福した咲太郎は、「なつを幸せにしろよ! 不幸にしたら絶対に許さないからな。覚えとけ!」と釘を刺す。第18週の始まり、第103回で晴れ着姿のなつを茂木(リリー・フランキー)らが花嫁衣装と持て囃すところで咲太郎は「嫁に行かなくてもいいからさ」となつに話していたが、彼にとっては幸か不幸か、その言葉はある種のフラグになっていた。戦災で孤児になったなつにとって咲太郎は、実の兄であり、親代わりとなって見守ってきてくれた存在だ。