三浦春馬、初の父親役で新境地を開くか 『TWO WEEKS』への期待

 また、これまでの傾向から考えると、「母になる/母を生きる」ことに比べて、「父になる/父を生きる」ことはドラマの題材となることが少なかった。是枝裕和監督の映画『そして父になる』は、新生児の取り違えという設定のもと登場人物の心理を丁寧に描くことで成立していたが、プライム帯ドラマのメインターゲットである女性視聴者にとって、父親主体のストーリーが共感しづらいテーマであることは間違いない。

 しかし、それこそが狙いかもしれない。『TWO WEEKS』の秀逸な点は、突然父親になるという設定と三浦春馬の若手俳優としてのイメージのギャップを結びつけることで、ドラマにリアリティを持たせる点にある。血のつながりを雄弁に示すドナー適合という事実から出発し、父親としてのアイデンティティを獲得する過程が2週間という時間なのだ。

 制作発表会見で、三浦は撮影を振り返って「毎日が自分が演じたことのない感情との出会いの日々」と語っている。誰かを守ろうとすることで生まれる想いの深さは多くのドラマを生んできた。一日の間に感情はめまぐるしく変化する。父親であったはずの8年間を凝縮した2週間は、結城にとって感情が揺さぶられる日々になるだろう。

 手に汗握る展開が予想される『TWO WEEKS』。若手俳優から父親役を演じる実力派へ。三浦春馬は役者として新境地を開くことができるのか? 注目して見守りたい。

■石河コウヘイ
エンタメライター、「じっちゃんの名にかけて」。東京辺境で音楽やドラマについての文章を書いています。ブログtwitter

■放送情報
『TWO WEEKS』
カンテレ・フジテレビ系にて、7月16日(火)スタート 毎週火曜21:00〜放送
※初回15分拡大
出演:三浦春馬、芳根京子、比嘉愛未、三浦貴大、稲垣来泉(子役)、近藤公園、鈴木仁、バッファロー吾郎A、磯村勇斗、原沙知絵、池田鉄洋、高嶋政伸、黒木瞳ほか
原作:『TWO WEEKS』(c)MBC 脚本:ソ・ヒョンギョン
脚本:山浦雅大
音楽:木村秀彬
プロデュース:岡光寛子(カンテレ)、白石裕菜(ホリプロ)、平部隆明(ホリプロ)
演出:本橋圭太、木内健人
制作協力:ホリプロ
制作著作:カンテレ
(c)カンテレ
公式サイト:https://www.ktv.jp/twoweeks/index.html

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