向井理が最終回で見つけた大切なもの 『わたし、定時で帰ります。』が切り込んだ“完璧人間”の弱さ

 『わたし、定時で帰ります。』(TBS系)が最終回を迎えると同時に、種田ロスの声があちこちで上がっているようだ。

 本作は現代人に今の働き方の是非を問うという主題でありながら、その中で進んでいく主人公の結衣(吉高由里子)を取り巻く恋愛模様にも注目が集まっていた。結衣の所属する部署の副部長のポジションに新任されたのが元婚約者の種田晃太郎(向井理)。仕事ができ、上司からの信頼も厚く部下からも慕われている、まさにエース的存在。

 ただ、2年前の両家顔合わせの場に、種田が仕事を優先して現れなかったことが破談の1番の理由だ。当時同棲していた家に帰った結衣は、倒れていた種田に向かって「仕事と私、どっちが大事?」と涙ながらに問いかけるが、種田は「仕事に決まってるだろ」と即答し、これが別れの引き金に。

 ただ、後半に種田の上司の福永(ユースケ・サンタマリア)から、実は当時の種田は「結婚したいから、定時で帰れる会社に転職するために今頑張って働いている」と言っていたと聞かされ、初めて種田の真意を知ることとなる。一番肝心なことを最後まで言わない、いや言えない種田は実は誰より不器用で、そして責任感が強く誠実なのかもしれない。

 「仕事ができる」ということは何事も決して「他責」にしない、ということでもある。プロジェクトを遂行する上で、外部要因による様々な不可抗力、イレギュラーが発生するのは日常茶飯事で、それでも最終目的地まで何とかゴールしなければならない。そのためにはいちいち言い訳をしている暇などなく、起きたこと(=結果)に対して素早く新たな打ち手をとり対応していく必要があるのだ。

 もしかすると種田はこの感覚をプライベートや人間関係にも知らず知らずのうちに持ち込んでしまっているのかもしれない。

 「顔合わせに参加できなかった」という既成事実に対して後であれこれ言ったところでその結果は確かに変わらない。また、転職できていない段階で不確定要素が満載の中、結衣とのプライベートを優先できているであろう未来(効果)を確約はできない。

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