『なつぞら』中川大志が東洋動画の問題点をズバリ指摘 未知の航海へ乗り出すアニメーターたち

『なつぞら』中川大志が東洋動画の問題を指摘

 NHK朝の連続テレビ小説『なつぞら』第71話では、アニメ作りのために議論を交わす若者たちの姿が描かれた。

 昨日の放送では、下山(川島明)を筆頭に、なつ(広瀬すず)、茜(渡辺麻友)、堀内(田村健太郎)、麻子(貫地谷しほり)が集まり下山班が結成された。早速、『わんぱく牛若丸』の作画作業に取り掛かる作画課のメンバーたち。しかし、作画作業が佳境に入ったある日、演出助手の坂場一久(中川大志)がやってくる。

 坂場は、なつが描いた動画にどうしても納得ができない様子。自分の動画を説明するなつに対して、「そういう表現は、動きにリアリティがなければただの説明になりませんか?」「馬はどうですか? 馬は怖がりませんか?」と坂場は理詰めで指摘していく。どうやら、頭が良くどこか堅物な性格の持ち主のようだ。見かねた下山が間に入り、原画から描きなおすことを提案する。

 このシーンで、なつが提示したストレッチ&スクウォッシュとは、なつが茂木社長(リリー・フランキー)からもらったプレストン・ブレアの本にも記載のあるアニメーションの表現技法の原則のひとつだ。人の表情をはじめ、動きに伸び縮みを取り入れることで、表現の明確化が可能になる。

 坂場は「僕にはわからないんです。現実的な世界のリアリティを追求しようとしているのか、アニメーションにしかできない表現を追求しようとしているのか」とこぼす。東洋動画は総天然色の長編アニメーションを一本完成させたばかりの会社だ。今では、日本アニメーションは世界でも高い評価を得ており、「日本ならでは」を確立できている。しかし、当時はこのほどではない。ディズニーのヒットを受け、産声をあげたばかりの段階にあった。堀内が「東洋動画の問題点」というように、当時アニメーターたちは未知の世界への航海のさなかにあったことを感じさせるワンシーンだった。

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