『俺スカ』長尾謙杜のピュアさが物語を牽引 道枝駿佑との“なにわ男子”コンビの友情も見どころに

 スマホを拾ったことをきっかけに、その持ち主である山上(田辺桃子)に一目ぼれをした若林(長尾謙杜)。そのことを聞きつけた原田(古田新太)は、川崎(高橋ひかる)ら2年3組の生徒たちの協力のもとで若林の瑞々しい恋をプロデュースすると言い出す。そんな冒頭に、初々しい青春恋愛模様が描かれるのかと思われた『俺のスカート、どこ行った?』(日本テレビ系)第5話。しかし物語は思いもよらないほろ苦い展開を見せる。

 若林と言えば、第1話では人と接するのが苦手で常にマスクをしていた男の子だ。屋上から飛び降りることでその壁を自らぶち破ることはできたものの、まだそんなに積極的に行動できるようなタイプではなさそう。そんな若林だが、その第1話の対話をきっかけに原田と親しくなったり、前回放送の第4話では東条(道枝駿佑)と和解するなど、徐々に交友関係が広がっていく姿が印象的だった。そうした姿を含め、ピュアな若林が一歩一歩成長していく模様は、本作の見どころのひとつ。そして第5話では、「まっすぐ思いを伝えることのかっこよさ」が、彼によって伝えられることになる。

 『俺スカ』というドラマは、原田先生の思いきった発言や行動が印象に残りつつも、セリフではなく目と顔の表情で心の内を物語る場面がとても多い作品。なかでも、深い悩みを抱えていそうな明智(永瀬廉)が示す冷めた表情や、若林を見守る東条の温かい目線、デートに込める若林の期待感が現れる嬉々とした表情などが特に印象深い。しかし、言葉には表さない心の内を本作は捉えながら、それでも「伝えたいことはしっかり伝えなさい」と教えるのが原田のスタンスだ。好きな人から連絡先を聞き出し、デートへと行くことになったものの、しかしそれが相手のからかいだったと知る。そんな逆境に立たされながら、なんとか彼女に思いの丈を告白する。好きな人への気持ちをはぐらかしたままに人と接しようとする山上が、最後に東条から「ダサ」と言われる姿がどこか爽快感を伴って見えたのは、この若林の告白があまりにもかっこよかったからだろう。伝えることは難しいし怖いけれど、きっと意味があるはずだと本作は教えてくれている。

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