『あなたの番です』は再びミステリーへと立ち返る “交換殺人ゲーム”に大きな動きの予感

 直前のシーンで浮田の部屋の面々が黒い服をまとって何処かへ行こうとしている姿が映し出されたが、彼らは同じような動きをドクター山際の死の直前にもしていただけに、おそらくこの件とは関係がないとみてもいいかもしれない。また、ルールに則ればシンイー(とその同居人)が手を下す番なので、シンイーが引いた紙に赤池夫婦(もしくは一家全員)の名前が書かれていたと考えるのが妥当であろう。しかしながら、ケーキの板に書かれた名前が変わっていたことから考えるに、はたして日本語が決して自由ではない彼らがあえてそうするのかという疑問が残るところだ。

 暗闇の中で窓から侵入し、音楽を流し、凶行に及ぶ。先週は「これから誰かを殺さなくてはいけない」人物の姿をサスペンスとして描き、見えない脅迫者の存在がミステリーの要素になったこのドラマではあるが、再び「誰が殺したのか」というミステリーへと立ち返ったように思える。シンイーたちなのか、浮田たちなのか。それとも赤池家に出入りしていた404号室の江藤(小池亮介)もその可能性を秘めているが、彼はゲームには参加していない。いずれにしても、“交換殺人ゲーム”の標的がキウンクエ蔵前の内部に戻ってきたことによって、ゲーム全体に大きな動き、いや、ある種の“揺らぎ”があらわれ始めているような予感がしてならない。 

■久保田和馬
映画ライター。1989年生まれ。現在、監督業準備中。好きな映画監督は、アラン・レネ、アンドレ・カイヤット、ジャン=ガブリエル・アルビコッコ、ルイス・ブニュエル、ロベール・ブレッソンなど。Twitter

■番組情報
日曜ドラマ『あなたの番です』
毎週日曜22:30〜放送
出演:原田知世、田中圭、西野七瀬、浅香航大、奈緒、山田真歩、三倉佳奈、大友花恋、金澤美穂、坪倉由幸(我が家)、中尾暢樹、小池亮介、井阪郁巳、荒木飛羽、袴田吉彦、片桐仁、真飛聖、和田聰宏、野間口徹、林泰文、片岡礼子、皆川猿時、徳井優、田中要次、長野里美、阪田マサノブ、大方斐紗子、峯村リエ、竹中直人、安藤政信、木村多江、生瀬勝久
企画・原案:秋元康
脚本:福原充則
演出:佐久間紀佳ほか
チーフプロデューサー:池田健司
プロデューサー:鈴間広枝、松山雅則
制作協力 :トータルメディアコミュニケーション
製作著作 :日本テレビ
(c)日本テレビ

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