内田理央、『向かいのバズる家族』でさらなる飛躍に期待 ダークサイド演じるのは実は得意分野?
そういった部分から小悪魔的なキャラとも呼ばれることも多いが、後の2018年の『おっさんずラブ』でも、友達関係から自身の恋心に気づき葛藤する役柄を演じた。男たちの三角関係に参戦する唯一の女性は、一見視聴者的には邪魔者になりかねないのだが、内田自身が持つキャラであったり、一歩引いて一生懸命見守る感じが、視聴者の共感を得る結果となった。濃い男性キャストが多い紅一点のドラマでは、ビジュアル的にドラマを緩和するだけでなく、その関係性や心理を揺らすのに絶妙な存在感を見せる。
そして女優として世間から高い評価を得たのが、2018年の『海月姫』でのオタク女子・まやや役。普段は人見知りで、ジャージ姿で髪の毛で顔半分を隠したオタク女子だが、居場所を守るために、コンプレックスに打ち勝ち、ファッションショーで、顔をさらして堂々たるウォーキングでランウェイを歩く。内田がキャスティングされた時点でその美貌は分かっていたことだが、いざその変貌ぶりが披露されると、そのカッコ良さにネット上は歓喜の声が上がった。
オタクとしてデフォルメされた体当たりの演技は、モデルとしての内田しか知らない人なら意外だと思われるが、『ニーチェ先生』の地下アイドルであったり、『侠飯~おとこめし~』での酔っ払い演技を見ていると、むしろエキセントリックな役柄は得意分野なのではないかと思ったりもする。それは本人が、アニメ『けいおん』を見てバンドを始めたり、日テレジェニックのオーディションで「ハレ晴レユカイ」を歌って合格したり、ジョジョ好きを公言していたりと、漫画やアニメ好きのオタクという土壌があるからなのかもしれない。また内田の良さはモデルにも関わらず、決して高飛車で高嶺の花ではなく、友達のような感覚があるところ。『海月姫』は、そのモデルキャラを逆手にとって活かしたところに面白さと意外性があったと言えるが、もしかしたら素に近いからこそ役にハマったのかも知れない。
さて、4月4日から始まる内田理央主演『向かいのバズる家族』は、SNSに翻弄される家族の崩壊と再生を描く、新しい形の家族ドラマ。内田演じる主人公・篝(かがり)あかりは、真面目で周囲からの評判も良いカフェの店長だが、SNSの世界ではダークサイドを抱えたもう一つの人格を持っている。そんなあかりが、ある動画がきっかけで“バズる”ことになり、突然“インフルエンサー”への坂道を登っていき、彼女をとりまく家族や周囲の人々もそれぞれSNSと関わっていて、あかりとの関係にも影響することになる……というストーリーだ。
主役であり、翻弄する側でなくされる側という受け身になった時に、視聴者が共感できるキャラを演じられるかが女優・内田理央の腕の見せどころ。今回も高岡早紀や木下隆行といった演技ができる濃いキャラに囲まれた環境は、ある意味内田の得意とするフィールドではないだろうか。また、一風変わった家族ものではあるが、庶民派演技がうまくハマれば、女優としてさらなるステップアップとなり、今後主演作が増えていくことが期待される。今回はダークサイドの部分もあるようで、今まで様々な役柄を演じてきた隠れた実力者の内田なだけに、どんな演技を見せてくれるのか、初回が楽しみでならない。
(文=本 手)
■放送情報
プラチナイト 木曜ドラマF『向かいのバズる家族』
読売テレビ、日本テレビ系にて、4月4日(木)スタート 23:59~0:54放送(55分枠)
出演:内田理央、白洲迅、木下隆行(TKO)、那智、小川紗良、永野宗典、山中崇、藤井武美、小野武彦、高岡早紀
脚本:マギー
監督:藤井道人ほか
制作協力:ザ・ワークス
(c)読売テレビ