生まれながらにしての俳優・神木隆之介 『フォルトゥナの瞳』で見せる、大人の表情

 全国映画動員ランキング初登場1位と、華々しいスタートをきった『フォルトゥナの瞳』で、初のラブストーリーに挑んだ神木隆之介。“初の”とあれば、とうぜん彼の新たな表情が見られることは確実である。

 子役として俳優活動をスタートさせた神木のキャリアは、すでに20年を越えている。物心がつくよりも前からの活動開始とあって、彼こそ真の意味で“ナチュラル・ボーン・アクター(生まれながらにしての俳優)”と呼んで差し支えないだろう。それは、これまでの彼の俳優としての軌跡をたどれば一目瞭然であり、辿ることでこそ、その確証を得られるだろう。

 12歳の頃に公開された『妖怪大戦争』(2005)で、早くも日本を代表する演技者陣の先頭に立ってみせた神木。それ以降、手堅くキャリアを積み上げ、青春映画の新たな金字塔となった『桐島、部活やめるってよ』(2012)の主演で、現在の地位を不動のものとした。その後は、舞台の映画化であり、比較的公開規模は小さかったものの得難い作品となった『太陽』(2016)や、人気漫画の実写化作品『バクマン。』(2015)、『3月のライオン』(2017)でも主役として、唯一無二の存在感を示してきた。いずれもの作品が、その年を代表する邦画作品の一つに数えられるものだろう。

(c)2015映画「バクマン。」製作委員会

 しかしながら、引っ張りだこな人気子役であったことや、あどけなさが残る顔立ちも相まって、25歳の現在も、いまだにそこから抜けきれていない印象が強かった。だがこれはもちろん、多くの方がポジティブな心持ちで受け止めていたはずである。いつまでも若々しい役どころを演じられるのは強みであるし、事実彼は、いくつのときもその世代のトップ俳優として、同世代の者たちをリードしてきたのだ。

 だがそんな神木も、いまや20代半ば。もうそろそろ「大人な神木隆之介を見たい」、そういった声も上がってきていたのではないだろうか。『刑事ゆがみ』(2017・フジテレビ系)などで“大人役”を演じてはいるものの、まだまだ未熟さの感じられる役どころであったことは記憶に新しい。この“未熟さ”こそ、神木が演じてきたキャラクターの多くに見られる個性であり、この『刑事ゆがみ』は神木の特色を活かしたキャスティングであるとも言えたが、もう少し、彼の芝居の幅が見たいのだ。

『刑事ゆがみ』(c)フジテレビ

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