木村多江、“幸薄女”から一歩先へ 『後妻業』木村佳乃相手に見せた漫才のようなツッコミ

 “後妻業”(=資産家の老人を狙う遺産相続目当ての結婚詐欺)をなりわいとする悪女・武内小夜子(木村佳乃)が主人公のドラマ『後妻業』(カンテレ・フジテレビ系)。

 第3話では、耕造(泉谷しげる)の葬儀が終わり、小夜子とパートナーの柏木(高橋克典)は次なるターゲットに目を付ける。それは大手外食チェーンの会長・富樫幹夫(佐藤蛾次郎)。しかし認知症を患っている富樫に小夜子は苦戦する。その一方で、耕造の娘・朋美(木村多江)は探偵の本多(伊原剛志)に依頼し、小夜子の素性について調べ始める。彼らは小夜子の3番目の夫が不可解な死を遂げていることを突き止める。

 第3話は、表情豊かな木村多江に注目したい。本多に小夜子の素性を調べあげてもらった朋美は、自ら小夜子と対峙することを望む。小夜子の住むマンションへと足を運んだ朋美は、耕造の死の真相を知るべく「あなた、後妻業よね」と直球に投げかける。

 木村は「薄幸美人女優」と評されることも多かった。しかしドラマ『あなたには帰る家がある』(TBS系)でユースケ・サンタマリア演じる太郎の妻・綾子を演じ、魔性の女として視聴者の心に強い印象を残した。「薄幸美人女優」から一歩先へ進んだ木村は、今作では勝ち気で知的なキャリアウーマンを演じている。伏し目がちなシーンもあるが、野心が強い朋美の性格が伝わるような凛とした姿勢を貫いている。

 今作の木村はとにかく表情豊かだ。耕造の死に疑念を抱く表情からは、父の死を悲しむ様子だけでなく、小夜子に対する憤りが伝わってくる。朋美の言うことを軽くあしらう小夜子に対して苛立つ表情はコミカルだ。朋美に追求されているにも関わらずおちゃらける小夜子に対し、「ターメッ!タメやから!!」と思わずツッコミを入れてしまうシーンは、まるで漫才のようだった。しかし小夜子に耕造の死の真相について語られたときには、顔をこわばらせ、戸惑いを見せる。木村が朋美の感情を豊かに表現することで、物語に緩急がつく。

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