『下町ロケット』新春ドラマ特別編は怒涛の展開に 阿部寛らが伝える現代日本へのメッセージとは
同じ頃、佃もダーウィン・プロジェクトの会見に立ち、「日本の農業を救うこと」という無人農業ロボットの目標信念を説き、技術力を供与することを伝える。佃や財前、野木らがダーウィンに特許を与えることを選んだのは、ランドクロウによって農家を救った経験からのものだった。
敵味方の前に、モノづくりとは人々の生活を豊かにするためにある。『下町ロケット』のテーマは、一貫して技術者として生産者に寄り添い、日本の未来を思うことにぶれはない。2018年の世相を表す漢字に「災」が選ばれたように、昨年は日本各地で大災害が発生した。その中の一つに台風があり、多くの農作物が被害にあった。「新春ドラマ特別編」は、今の日本の現実を映したメッセージであったように思う。
今回の放送は、動画配信サービス「Paravi」にてディレクターズカット版として配信されるものの、これが本当の最終回である。とはいえ、佃の娘・利菜(土屋太鳳)がアメリカの宇宙開発会社に合格していたり、権威を振りかざしていた的場の呆気ない結末など、どこか次作に繋がる要素が残されているようにも思える。池井戸潤の事務所は、放送終了後、Twitterにて「『次作の構想はある』と先週言ってましたよ」と綴っている。佃たちの熱く、泥臭い不屈の精神がまた見られることを、楽しみに待ちたい。
■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter
■放送情報
TBS日曜劇場『下町ロケット』
出演:阿部寛、土屋太鳳、竹内涼真、立川談春、安田顕、和田聰宏、今野浩喜、中本賢、谷田歩、朝倉あき、真矢ミキ、木下ほうか、恵俊彰、池畑慎之介、倍賞美津子ほか
原作:池井戸潤『下町ロケット ゴースト』(小学館刊)
脚本:丑尾健太郎
プロデューサー:伊與田英徳、峠田浩
演出:福澤克雄、田中健太
(c)TBS
公式サイト:http://www.tbs.co.jp/shitamachi_rocket/