『下町ロケット』立川談春の男泣きが胸に迫る 偉大な“トノ”を失った阿部寛らの行方
第4話でクライマックスとなったのは、殿村が佃に製作所を去ることを正式に告げる場面だ。20年間の銀行員を経て、佃製作所の経理部長となった殿村は、“トノ”として信頼される、会社の柱だった。それは佃にとっても同じ。2015年に放送された『下町ロケット』で、ナカシマ工業から訴えられ佃が社長を辞めようとしたシーンが回想される。「社長あなたは夢に愛されている。だから! 逃げちゃいけない!」。この場面は、演じる阿部も完成披露試写会にて絶賛していたシーンだ。「あの時トノがああ言ってくれなかったら、今の佃製作所はなかった。トノには感謝しかない。佃製作所を救ってくれた恩人だ。だから今度は俺に、お前の背中を押させてくれよ」「よく決めたな、トノ」。佃がそう告げると、殿村は背中を向け、むせび泣きながらドアを開け部屋を出て行く。この殿村の“男泣き”は、前シーズンより観ていた視聴者には刺さる場面である。池井戸潤の個人事務所Twitterアカウントも「佃製作所の守護神・殿村さんが去ってしまうとは…でもトノも、大地を相手にものづくりを始めるんですよね」とツイートしており、彼の存在の偉大さを物語っている。阿部が絶賛するほどの立川の演技力は、噺家として長年鍛え上げられた落語での芸による成果だろう。
第4話は、ギアゴーストの顧問弁護士・末長孝明(中村梅雀)が裏切り者であることが判明し終幕。第5話の予告では、さらなる裏切り者がいることが匂われている上に、財前道生(吉川晃司)が殿村の実家で稲刈りを手伝うシーンも。果たして、ゴースト編はどのような完結を迎えるのか。
■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter
■放送情報
日曜劇場『下町ロケット』
TBS系にて、毎週日曜21:00~21:54放送
出演:阿部寛、土屋太鳳、竹内涼真、立川談春、安田顕、和田聰宏、今野浩喜、中本賢、谷田歩、朝倉あき、真矢ミキ、木下ほうか、恵俊彰、池畑慎之介、倍賞美津子ほか
原作:池井戸潤『下町ロケット ゴースト』(小学館刊)
脚本:丑尾健太郎
プロデューサー:伊與田英徳、峠田浩
演出:福澤克雄、田中健太
(c)TBS
公式サイト:http://www.tbs.co.jp/shitamachi_rocket/