『プリレジェ』キャラ設定は“ファンの理想像”?  『HiGH&LOW』とは異なる鈴木伸之らの演技

 1話ではTeam 奏にフィーチャーし、2話以降はTeam 京極兄弟やTeam 生徒会、Team ネクストなど、新キャラがぞくぞく紹介されている『PRINCE OF LEGEND』(日本テレビ系)。

 銀河万丈によるナレーションで各キャラクターの背景は説明されるが、本編ではそれぞれの内面がより深く掘り下げられている。キャラクターの説明が不十分にならず、魅力的に描かれていることには、『HiGH&LOW』シリーズでの経験が存分に活かされているのだろう。

 『HiGH&LOW』では、テレビシリーズでも、それぞれのチームとキャラが紹介され、そこからドラマ部分が深められていくようになっていた。中心メンバーを演じるLDHの面々も、基本的には“かっこいい”キャラクターを演じていた。スピンオフ、映画『DTC -湯けむり純情篇- from HiGH&LOW』では、ダン(山下健二郎)、テッツ(佐藤寛太)、チハル(佐藤大樹)の背景や生活感がより感じられる作りになっており、本筋とは違う魅力の作品に仕上がっていた。スピンオフでありながら作品のトーンがまったく違うものになったのは、『HiGH&LOW』は中学生の男の子が見ても「かっこいい」と思える作品を作りたかったという、当初のコンセプトとも関係がある。

 一方、『PRINCE OF LEGEND』は女性を真正面からターゲットにした作品で、今回はちょっと笑えて、そのキャラクターのことを「かわいい」と思えるようにできており、キャラクターには、演じる役者本人の要素も多いに盛り込まれている。

 本人からキャラクターを練るということは、事前に俳優と面談をしてそこから要素を抽出して作る『HiGH&LOW』の作り方と同じ傾向ではある。だが、本作に限っていえば、そこにファンの求めるそれぞれのキャラクター像もより加味されているのが特徴ではないだろうか。

 例えば、 片寄涼太演じる朱雀奏であれば、学園の王子ではあるが、ちょっと単純で純情。そして、なにかというと熱くなって癇癪を起したり、庶民の生活に対して無知で、そこが天然に見えるというキャラクターを、漫画並みにデフォルメして演じている。時には、頬をあからさまに赤らめたりもするが、そこもコミカルに映る。そんなキャラクターは、本人の要素を基に、ファンが欲しがっている片寄像を集めたもののようにも見える。そして、片寄以外の『HiGH&LOW』に出ていた面々は、この作品ではよりギャップを見せている。

 Team 京極兄弟の京極尊人を演じる鈴木伸之は、『HiGH&LOW』では山王連合会のヤマトを演じ、骨太なイメージが強かった。しかし、本作では、やはり奏のごとく単純でデフォルメされたヤンキーで、ヒロインの成瀬果音(白石聖)のことを、ケンカのめっぽう強い女性と勘違いし、憧れも含めて一目惚れをしているというキャラクターを演じている。

 また、家が大家族で決してお金持ちではなく、どんぶり飯をかきこむ姿や、ケンカにあけくれる場面なども、鈴木のイメージを最大限に膨らましていて、「待ってました」という気分にもなる。同時期に出演している『今日から俺は!!』(日本テレビ系)のキャラクターともシンクロしつつ、違いもあって見比べるのも楽しい。

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