中山美穂を虚しさと焦燥感が襲う 『黄昏流星群』が描く第2の人生のスタート地点

 環境の変化が顕著に描かれた『黄昏流星群~人生折り返し、恋をした~』(フジテレビ系)の第2話。銀行の支店長の座から、物流会社への出向を命じられた完治(佐々木蔵之介)は、傷心旅行のスイスで偶然出会った栞(黒木瞳)と出向先の社員食堂で再会を果たした。一方、完治の妻・真璃子(中山美穂)は、娘である美咲(石川恋)の婚約者の春輝(藤井流星)に惹かれている様子。しかし真璃子は、春輝にとって母親ほどの年齢であることを気にかける。また、娘が家を出たら自分には何も残らなくなる、虚しさと焦燥感にかられる真璃子の姿があった。

 第2話では、多くの伏線が用意され、順当に回収されていく様子が伺えた。本作は”不倫”という主題を扱う中で、この主題をどれだけピュアに、クリーンなイメージで描いていけるかに注力している。そんな中、一番わかりやすく”不倫”を前面に押し出したキャラクターが完治の部下である篠田(本仮屋ユイカ)だ。

 篠田は完治に想いを寄せアプローチを仕掛ける。真璃子が完治の携帯を届けるため銀行に行くと、篠田は出向のことを知らないのかと問い、真璃子の戸惑う表情を見て笑みを浮かべた。誰かの夫である存在を奪うという不倫の核の部分を、一番あけすけに表現しているキャラクターは篠田なのである。だが、篠田は、真璃子が疑う完治の不倫相手として存在するものの、完治は篠田に全く興味がない。ドラマの主題を前面に押し出した役柄でも、控えめな出演シーンにすることで、気品が保たれる演出がなされていた。

 そして、第2話でもう一つ浮き彫りになったは、真璃子の居場所だ。娘が自立し、旦那との愛は山もなく谷もなく、自身が打ち込めるキャリアもない。そんな女性が、第2の人生のスタート地点に立った時に突然、何も持っていないという虚無感と焦燥感に煽られる様子が丁寧に描かれていた。

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