「週末映画館でこれ観よう!」今週の編集部オススメ映画は『止められるか、俺たちを』

 若松孝二はもちろん、日本映画史にその名を残す、大島渚、大和屋竺、沖島勲、荒井晴彦ら実在の人物たちを知っている方は、「この人はこの後あんな作品を作るんだよなあ」と感慨深い気持ちになること必至ですが、まったく知らない方にとっても(知らない方こそ)、自分が何者にもなれない、周りから1人だけ取り残されたような感覚に陥っていくめぐみの姿に、共感せずにはいられないと思います。

 監督を務めたのは『日本で1番悪い奴ら』『孤狼の血』などのヒットメーカー、白石和彌。自身も若松プロダクションに所属していた白石監督の、この時代への憧れ、そして共感がスクリーンから溢れているように感じました。それでも、決して内輪受けの映画にはなっていません。本作に刻まれているのは、若松孝二、その周辺にいた人物の功績ではなく、あくまで1人の女性の青春そのものだからです。めぐみを演じた門脇麦はもちろん、若松孝二として、これまでとはまったく違う演技を見せてくれた井浦新、そして山本浩司、毎熊克哉、藤原季節らの生々しい実在感には脱帽でした。

 誰もが共感できる青春映画の1本として、ぜひ多くの方に観ていただきたいです。

■公開情報
『止められるか、俺たちを』
10月13日(土)テアトル新宿ほか全国順次公開
出演:門脇麦、井浦新、山本浩司、岡部尚、大西信満、タモト清嵐、毎熊克哉、伊島空、外山将平、藤原季節、上川周作、中澤梓佐、満島真之介、渋川清彦、音尾琢真、高岡蒼佑、高良健吾、寺島しのぶ、奥田瑛二
監督:白石和彌
製作:尾﨑宗子
プロデューサー:大日方教史、大友麻子 
脚本:井上淳一
音楽:曽我部恵一
製作:若松プロダクション、スコーレ、ハイクロスシネマトグラフィ
配給:スコーレ
(c)2018若松プロダクション
公式サイト:www.tomeore.com

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