鈴愛と律の幼少期に重なる2人の子供 『半分、青い。』石橋静河登場で一波乱?

 ココンタは、花野にとって父親・涼次(間宮祥太朗)から貰った最後の誕生日プレゼントであり、唯一の親友であった。東京から岐阜・梟町に越してきた花野には、たくさんの話し相手ができる。その1人が優しく接してくれる律であり、弥一(谷原章介)や和子(原田知世)だった。身体の弱い和子のことを悟ったのか、花野は引き戸一枚を隔てて、律と「ふるさと」を歌ってみせる。第20週「始めたい!」の終盤では、ついに律の息子・翼(山城琉飛)と対峙するが、萩尾家写真館のドアを開け入ってくる花野と無意識にカメラのシャッターを切る翼の間には、不思議な間(ま)があった。瞬時に理解したような花野の笑顔と、それに反応してカメラのファインダーを覗き込む翼。「怒られる……」とシャッターを切ってしまったことで弥一との約束を破ってしまった翼は、反射的にカメラを弥一から隠すが、そんなことで怒られるはずもなく、弥一の「あら……」には、かつての鈴愛と律をダブらせたことだろう。さっそく暗室で、翼が初めて撮った写真を現像する弥一と翼、花野。初めての現像を花野に譲ってあげる翼の優しさも、どこか律をイメージさせる。

 第20週「始めたい!」は鈴愛と、律の妻・より子(石橋静河)がお互いをほぼ認識した状態で通話するところで幕切れとなる。より子の凍りつくほどに冷え切った態度が、鈴愛への拒絶を示している。それはもちろん花野と翼の関係性にも影響してくる。小学校受験を理由に、翼と大阪に残ったスパルタ教育のより子が、花野との関係性を許すわけはない。楡野家と萩尾家の関係性が、より子の登場によってどう変化していくのか。

■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter

■放送情報
NHK連続テレビ小説『半分、青い。』
平成30年4月2日(月)~9月29日(土)<全156回(予定)>
作:北川悦吏子
出演:永野芽郁、松雪泰子、滝藤賢一、上村海成/佐藤健、原田知世、谷原章介/矢本悠馬、奈緒/清野菜名、志尊淳
制作統括:勝田夏子
プロデューサー:松園武大
演出:田中健二、土井祥平、橋爪紳一朗ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/hanbunaoi/

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