『ハゲタカ』綾野剛は“日本の企業”を救うダークヒーロー? 平成最後の夏に蘇った理由

『ハゲタカ』綾野剛は“日本の企業”を救う?

綾野剛演じる“ハゲタカ”の本当の目的は?

 木曜ドラマ『ハゲタカ』(テレビ朝日系)の第1章が終了し、先週8月9日の放送回より第2章がスタートした。

 第1章の舞台は、1997年〜2001年。まず第1章で強烈な印象を残したのは、やはり綾野剛演じる鷲津政彦の、切れ者としての存在感だ。外資系投資ファンド、ホライズンジャパン・パートナーズの代表を務める鷲津は、若くして企業買収や再建処理で実績をあげる一方、手段を選ばないやり方から、“ハゲタカ”と呼ばれ忌み嫌われている。

 鷲津は確かに常に眉間にしわを寄せており、相手を鋭く睨みつけ、時には怒号を飛ばす。立ち行かなくなっている経営を直視せずに解決策を探そうとしない。企業を支えてきた従業員に敬意を払わず不誠実に接する。そういった、自分の保身だけを考え、会社の未来を顧みない経営者に、鷲津は容赦ない。御託を並べる相手に証拠をつきつけ、見事な切り返しで徹底的に食い尽くしてしまうのだ。

 しかし、その一方で鷲津の仕事のやり方は非常に丁寧だ。話術も巧みで、その言葉には曖昧なところがなく理路整然としている。また情報収集もかなり熱心で、他企業が邪な方法で情報を手に入れている傍ら、鷲津は自分の足を動かし、実際に現場に赴くことを信条としている。鷲津は、仕事にベストを尽くす男なのだ。仲間からも絶対的な信頼が置かれ、“ボス”と呼ばれ慕われている。

 鷲津が買収をかけるのは、大手銀行や日本のリーディングカンパニーばかり。しかも、観光地の老舗料亭やホテル、国内有数の寝具メーカー、大手電機メーカーなど、日本ならではの精密な技術やホスピタリティを商売道具としている企業である。鷲津は本当に“外資のハゲタカ”として、利益のためだけに動いているのだろうか。本当の目的とはいったい何なのか。その疑問は、回を重ねるごとに強くなっていく。

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