石原さとみ主演『高嶺の花』で大役に挑む、俳優・峯田和伸の武器を探る
ではなぜ、峯田がここまで作品に欲されるのか。それは彼の佇まい、表情から醸し出される“説得力”だろう。これまで演じてきたキャラクターがしばしば「峯田以外にはできない」と語られてきた所以もそこにある。演技よりも本質的な部分でキャラクターとリンクする、それが彼の武器だ。『高嶺の花』で演じる直人は、30代後半になり、ももに会うまで女性経験はなし、商店街で自転車店を営みながら細々と生きているような男だ。それを峯田はわずかな目線の動かし方やちょっとした仕草の中にも表現できてしまう。セリフや演技はもはや添え物。話していなくても動いていなくても、その場にいるだけで直人とはこういう人物なのだろうという説得力がすごい。決して「役者然」という演技ではないし、上手いかというと正直わからない。でも、彼にしかできない役があるというのは、それだけの魅力があるということだし、本作でもまさにそこが決め手となっている。直人は峯田だからこそ意味がある。“高嶺の花”に手を伸ばす、健気でいじらしい男を出現させるには、峯田が必要だったのだ。
先週放映された第5話では、祖母伝来の結婚指輪を渡して直人がももにプロポーズ。しかし、直前の場面で月島流の家元になる決意をしていたももは複雑な表情を見せる。その後の第6話の予告編ではふたりの結婚式で大きな波乱が起こる展開を予感させ、画面には「第1章完結編」の文字が躍った。果たしてももと直人の恋の行方には、どんな結末が待つのか。お家騒動や登場人物のややこしい過去など、ますますエキセントリックに転がっていくストーリーの中、峯田のブレない存在感がまぶしい。
■渡部あきこ
編集者/フリーライター。映画、アニメ、漫画、ゲーム、音楽などカルチャー全般から旅、日本酒、伝統文化まで幅広く執筆。福島県在住。
■放送情報
『高嶺の花』
日本テレビ系にて、毎週水曜22:00放送
出演:石原さとみ、峯田和伸、芳根京子、千葉雄大/升毅、十朱幸代/戸田菜穂、小日向文世ほか
脚本:野島伸司
チーフプロデューサー:西憲彦
プロデューサー:松原浩、鈴木亜希乃、渡邉浩仁
演出:大塚恭司、狩山俊輔、岩崎マリエ
(c)日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/takanenohana/