斎藤工、物語に大きな展開を生む 『半分、青い。』祥平役で見せたリアルな人間像

斎藤工が体現する、もがく者の説得力

 ついに斎藤工が大きく動き出した。好評放送中の『半分、青い。』(NHK)でのことである。永野芽郁演じるヒロイン・鈴愛と、間宮祥太朗演じる涼次が中心に立つ「人生・怒涛編」で、脇に静かに収まり、支える側に徹していた印象の斎藤であったが、ここにきて物語の大きな展開を生む働きを見せた。

 斎藤が演じるのは映画監督・元住吉祥平。芸術家肌の映画監督で、かつて手がけた『追憶のかたつむり』という作品が海外の映画祭で受賞するも、その後は泣かず飛ばずの状況が続いていた。涼次とともに登場してきた祥平だが、本作の“鈴愛視点”で言えば、あくまで彼は助監督である涼次の師匠に過ぎない印象であった。しかし彼は、涼次が2年もの歳月をかけて脚色した『名前のない鳥』の監督の座を奪ってしまう。涼次のため、映画化に向けて原作者にはたらきかけていたのだが、思いがけずそれを横取りしてしまうかたちを取ってしまったのだ。ここで視聴者の方の多くが、その良し悪しは別として、“他者(涼次、そして鈴愛)の人生に影響を与える”祥平の、本作における存在の大きさを認識したところだろう。

 鈴愛と涼次が物語の中心であるいま、祥平が大きな存在感を見せるということは、それだけ彼が涼次にとって大きな存在であるということでもある。演じる斎藤は、『高台家の人々』(2016)や、今年は『BG〜身辺警護人〜』(テレビ朝日系)などでも共演してきた間宮について、『連続テレビ小説 半分、青い。 Part2』(NHK出版)にて「垣根を越えた仲なので、ふたりとも口数は少ないほうですが、“あうん呼吸”で演じられました」と語る。対する間宮も斎藤について、当サイトで行ったインタビューで「斎藤さんとは今年ずっと一緒に仕事をしているので、安心して撮影に臨めました」と語っている。演者同士の関係性は、自ずと今作でも滲み出ているのだろう。息の合った掛け合いは、朝から観ていて気持ちがいい。

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