『半分、青い。』衣装担当が明かす、鈴愛が“ボーダー柄”の理由 「着こなし過ぎない部分も大事」

ボクテも成長にあわせて“黒”の衣装に

ーー鈴愛とは対照的な衣装で異彩を放っていたのが、律の大学時代の恋人である清(古畑星夏)です。

澤谷:80年代のファッションを思い出しながら、鈴愛にはない女性としての色気、裕子(清野菜名)とは別の東京に染まっている感じを清には出すことができればと考えました。清も裕子と同じショートパンツでも、そこにニーハイを組み合わせることで何か個性が出ればと。

ーー「東京・胸騒ぎ編」では、清のほかに正人(中村倫也)も大きなインパクトを残しました。

澤谷:正人は衣装合わせのときに一番イメージが変わったキャラクターでした。律や鈴愛と同じように上京してきた立場ですが、2人よりも都会に染まっていて、もっと遊んでいるイメージだったんです。でも、実際に中村さんと打ち合わせをする中で、遊んでいる男というよりも、ゆるフワな雰囲気にしようと。それが正人のニットを基調とした衣装になっていきました。「東京・胸騒ぎ編」は10代後半から20代中盤の一番華やかな時期ということもあり、鈴愛のほか、ボクテ(志尊淳)、裕子も明るめの衣装になっています。

ーー年齢を重ねるごとに衣装のカラーも少し落ち着かせていると。

澤谷:そうですね。ボクテに関して言うと、オフィス・ティンカーベル在籍時はカラフルな色合いの衣装になっているのですが、出ていって人気漫画家になってからは白や黒のモノトーンの衣装になっています。オフィス・ティンカーベル内には秋風先生(豊川悦司)という絶対的な存在がいて、秋風先生は基本的に黒なんです。同じ空間で色味がかぶることを避けたかったというのもありますが、ボクテが白や黒を着るようになったことは、秋風先生と同じ売れっ子作家になったという部分を意図したところもあります。それでも先生と一緒に映るシーンでは、ボクテから黒を外して、秋風先生だけが黒を着るようにしていました。

ーー現在放送中の「人生・怒涛編」のキャラクターはどんな点に意識を?

澤谷:涼次(間宮祥太朗)は明るくてポップ、かわいいキャラクターのイメージがあったので、暖色系のシャツを着ているというのは最初に決めました。半袖のシャツにロンTを合わせているちょっと不思議な感じ。どこかしら鈴愛と似ている雰囲気を出せればと。逆に祥平(斎藤工)はあまり衣装に変化がない寡黙な雰囲気、立ち位置的には秋風先生の代わりとして、黒を基調とした衣装にしました。

ーー放送中の舞台は2000年代に入り、衣装に関しては限りなく現在と変わらないと思いますが、時代劇と現代劇ではどちらのほうがやりやすいのでしょうか?

澤谷:どうですかね……。時代劇の場合はどうしてもほしい素材がなかったり、再現する難しさがあったりします。一方、現代劇の場合は、無数に選択肢があるからこそ、もっといいものを、もっと何かあるはずだと、歯止めがきかなくなる部分があります。時間と予算と付き合いながら、一番いい落としどころをいつも探しています。どちらにも難しさがあり、楽しさがあります。

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