綾瀬はるかが結婚に感じる“メリット”とは? 『義母と娘のブルース』が示した、人と向き合う勇気

 そこに気づけない亜希子に、 第1ラウンドはみゆきの方から歩み寄った。 履歴書の意味を良一に聞き、「採用通知」という書面を作る。 ビジネスしか知らない亜希子のルールを汲み取って、コミュニケーションを図ろうとしたのだ。実の母親の死から3年。まだその悲しみを乗り越えられていないにも関らず、 それでも自分を愛そうとしてくれる亜希子と向き合ってみたい。そんな風に考えられたのは、みゆきが戦術などではなく、純粋な心の動きに素直に従ったからだろう。だが、そんなみゆきの歩み寄りを、亜希子は“接待では腹芸が喜ばれる”という、またもや自分内ルールに沿って動いたのだから、当然みゆきの心は閉ざされてしまう。

 付き合いには、自分と相手が心地よく過ごすためのルール作りが必要だ。戦術や人心掌握術を駆使して意のままに動かそうとすれば、きっと真の信頼関係は築けない。ましてや、ふたりは義理の母娘になろうとしているのだから。血の繋がらない家族だからこそ、お互いの異なる“普通”を一つひとつ受け止め、新しいルールを確認し合う必要がある。それは、この義母と娘だけではない。多様な個性が認められつつある現代においては、実の親子でも、恋人でも、友人でも、そして今や職場でも。既存のルールに則るだけではなく、新たに作り上げていく必要があるのかもしれない。ここから10年かけて築き上げられる母娘の絆。 その行方を見守ることで、 不器用ながら人と向き合う勇気に触れられることだろう。


(文=佐藤結衣)

■放送情報
火曜ドラマ『義母と娘のブルース』
TBS系にて、毎週火曜22:00〜23:07放送
出演:綾瀬はるか、竹野内豊、佐藤健、横溝菜帆、川村陽介、橋本真実、真凛、奥山佳恵、浅利陽介、浅野和之、麻生祐未
原作:『義母と娘のブルース』(ぶんか社刊)桜沢鈴
脚本:森下佳子
プロデュース:飯田和孝、大形美佑葵
演出:平川雄一朗、中前勇児
製作著作:TBS
(c)TBS
公式サイト:http://www.tbs.co.jp/gibomusu_blues/

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