佐野玲於らがキラキラとした感情をまっすぐに差し出す 『虹色デイズ』に散りばめられた“17の特権”

『虹色デイズ』に散りばめれた“17の特権”

 加えて、彼らを囲む女子たちが作り出す独特の雰囲気もまた秀逸。異性に対するものとは違う独占欲や仲間意識など、言葉で表現するのは難しい“女子っぽい”関係を吉川愛、恒松祐里、堀田真由らがナチュラルに魅せる。そんな彼女たちと主人公が織り成す恋模様は、恋に正面から突っ走る少し幼い男子と、大人にはなりきれない女子という高校生らしい距離感がたまらない。そして、それを演じる女優たちの圧倒的な表現力には、鳥肌がたつほどシビれてしまう。

 原作と比較すると、なっちゃんと小早川さん(吉川)の出会い方が違ったり、4人の担任が滝藤賢一演じる映画オリジナルキャラクターだったりと、全体的にチャレンジングな演出・脚本といえそう。だが、映画が終わっても、彼らの日常はたしかに続いていく……心からそう思える不思議な感覚は、ほかでは味わえない「映画『虹色デイズ』の特権」といえるだろう。やっぱり青春って、すばらしい。全力で生きる高校生たちが、まっすぐに差し出すキラキラとした感情を、どうか余すところなく受け取ってほしい。

■nakamura omame
ライター。制作会社、WEBサイト編集部、専業主婦を経てフリーライターに。5歳・7歳の息子を持つ2児の母。ママ向け&エンタメサイトを中心に執筆中。Twitter

■公開情報
『虹色デイズ』
7月6日(金)全国ロードショー
出演:佐野玲於(GENERATIONS from EXILE TRIBE)、中川大志、高杉真宙、横浜流星、吉川愛、恒松祐里、堀田真由、坂東希(E-girls/Flower)、山田裕貴、滝藤賢一
原作:水野美波『虹色デイズ』(集英社マーガレットコミックス刊) 
監督:飯塚健
脚本:根津理香/飯塚健
音楽:海田庄吾
エンディング・テーマ:「ワンダーラスト」降谷建志(ビクターエンタテインメント/MOB SQUAD)
挿入曲:フジファブリック/阿部真央/Leola/SUPER BEAVER
企画・配給:松竹
(c)2018「虹色デイズ」製作委員会 (c)水野美波/集英社
公式サイト:nijiiro-days.jp

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