清野菜名、志尊淳、奈緒……『半分、青い。』永野芽郁演じるヒロインを支える注目の若手役者たち

「東京編」個性が光る!

 「漫画家になる!」と岐阜を飛び出した鈴愛。彼女が飛び込んだ先は、売れっ子少女漫画家・秋風羽織(豊川悦司)率いる「オフィス・ティンカーベル」。ロン毛にサングラス姿の出で立ちの個性的な秋風先生だが、彼の右腕となるアシスタントたちもまた、かなり個性的である。

藤堂誠(ボクテ)/志尊淳(1995年生まれ)

 「ボクって」が口癖のゲイの美青年・藤堂誠を演じている志尊淳。“テニミュ”で俳優デビューした彼は、『列車戦隊トッキュウジャー』(2014-2015)の主役で一気にその名を広め、『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』(2015/フジテレビ系)や、『帝一の國』(2017)、前クールの『トドメの接吻』(日本テレビ系)と、若者たちが中心となる作品で主要なポジションをまっとうし、若手俳優の中でもひときわ強い輝きを放っている。今作で演じる通称“ボクテ”は、秋風先生の優秀なアシスタント。慣れない環境下で孤軍奮闘する鈴愛を何かと気にかけ、その優しい笑顔には多くの視聴者の方が癒やされているのではないだろうか。ゲイという設定の複雑な役どころに挑む志尊だが、今年の頭に放送され大きな反響を呼んだ『女子的生活』(NHK)や『トドメの接吻』でも、性的マイノリティーを自然なかたちで体現してきた。今作でも鈴愛との関係性のなかで深みを増していくのであろう、彼のキャラクターから目が離せない。

小宮裕子(ユーコ)/清野菜名(1994年生まれ)


 “ボクテ”と同じく、秋風先生の優秀なアシスタントの小宮裕子を好演している清野菜名。『まれ』(NHK)のスピンオフ作品に出演した彼女だが、朝ドラへの出演は今作が初めて。最初は新入りの鈴愛に冷たい態度をとり、ハラハラしながら見ていたものの、ふたりの距離がぐっと縮まる場面では、ついこちらも笑みがこぼれた。今作での通称“ユーコ”は、次第に鈴愛と親友になっていくことになるようだが、間もなく封切られる映画『恋は雨上がりのように』でも、小松菜奈が演じる橘あきらの親友・喜屋武はるか役として、その表現力の高さに大いに魅せられた。クールな“ユーコ”とはまたひと味違う、満開の快活な笑顔に注目である。そんな清野だが、『トットちゃん!』(2017/テレビ朝日系)での若き日の黒柳徹子役の好演も記憶に新しい。同じようにレトロファッションもよく似合う、『半分、青い。』の世界にばっちりと溶け込んでいる彼女が、鈴愛の存在によって変わっていく“ユーコ”の成長をどのように演じるのか楽しみである。さらに今秋は『今日から俺は!!』(日本テレビ系)で、橋本環奈とともにWヒロインを務める。『銀魂』などの福田雄一監督が演出を務める青春不良コメディとあって、清野がどんなハジけっぷりを見せるのかあわせて楽しみだ。

 「岐阜編」から「東京編」へと、それぞれ個性のあるキャラクター、実力を備えた若手役者同士が見事なバトンタッチを遂げている。彼らを演じる4人よりも鈴愛を演じる永野の方が年少だが、朝ドラのヒロインという大役を背負う彼女を、彼らがどのように支え、またどのような化学反応を起こしてくれるのか、まだまだ期待である。

 さらに「東京編」では、中村倫也演じる朝井正人や、古畑星夏演じる伊藤清も登場。両者とも、鈴愛と律の関係性に大きな影響を与える存在だ。楡野一家をはじめとする「ふくろう商店街」の人々が、何があっても鈴愛の味方でいてくれていたのとは違う環境である東京で、鈴愛の成長に彼らの存在が作用する成り行きを、今後も見守っていきたいところである。

■折田侑駿
映画ライター。1990年生まれ。オムニバス長編映画『スクラップスクラッパー』などに役者として出演。最も好きな監督は、増村保造。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『半分、青い。』
平成30年4月2日(月)~9月29日(土)<全156回(予定)>
作:北川悦吏子
出演:永野芽郁、松雪泰子、滝藤賢一/佐藤健、原田知世、谷原章介/余貴美子、風吹ジュン、中村雅俊/豊川悦司、井川遥、清野菜名、志尊淳、中村倫也、古畑星夏
制作統括:勝田夏子
プロデューサー:松園武大
演出:田中健二、土井祥平、橋爪紳一朗ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/hanbunaoi/

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