成功のカギは“原作”からの解放!? 『ちはやふる -結び-』、“映画”として満点の出来栄えに

 原作の良い部分を拾い上げ、映像としてのメリット(かるたの躍動に他ならない)を付け加えることで、原作はあくまでも“原作”だと割り切られた、映画独自の魅力を作り出していく『ちはやふる』。もちろん、原作では絶対に作り出すことができなかった試合中の沈黙が、度々劇伴で遮られてしまう部分や、スローモーションで象徴的なルックを追求してしまう“競技かるた”の描き方には難色を示したくなるものの、“映画”としては満点の出来栄えだといえよう。

 ひとえに、確固たるストーリーを持った原作に甘んじることなく、堂々とそれを超えていくものを作ろうとした作り手の気概が実を結んだということだ。前作でもちらりと映るクイーン戦と、その先に待っているものが描かれてしまったとはいえ、シリーズ3作で段階を踏んで原作から卒業してきた流れを汲めば、まるっきりオリジナルストーリーの続編が作られることに期待したくなる。

■久保田和馬
映画ライター。1989年生まれ。現在、監督業準備中。好きな映画監督は、アラン・レネ、アンドレ・カイヤット、ジャン=ガブリエル・アルビコッコ、ルイス・ブニュエル、ロベール・ブレッソンなど。Twitter

■公開情報
『ちはやふる -結び-』
全国東宝系にて公開中
出演:広瀬すず、野村周平、新田真剣佑、上白石萌音、矢本悠馬、森永悠希、清水尋也、優希美青、佐野勇斗、清原果耶、松岡茉優、賀来賢人、松田美由紀、國村隼
原作:末次由紀『ちはやふる』(講談社「BE・LOVE」連載)
監督・脚本:小泉徳宏
企画・プロデュース:北島直明
プロデューサー:巣立恭平
(c)2018 映画「ちはやふる」製作委員会 (c)末次由紀/講談社
公式サイト:http://chihayafuru-movie.com/

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