賀来賢人、独自の路線でブレイクへ 『海月姫』カイ・フィッシュ役の魅力

 2018年ブレイク最右翼といっても過言でもない賀来賢人。彼が『太陽と海の教室』(フジテレビ系)以来、10年ぶりに月9枠である『海月姫』に出演。”シンデレラコメディー”と銘打たれている本作で、ミステリアスでクールなエリート実業家を演じ、話題を呼んでいる。

 賀来は2007年に俳優デビュー。2012年のドラマ『クローバー』(テレビ東京系)では主演を務めるなどキャリアを積み重ね、ドラマ『永遠の0』(テレビ東京系)、映画『ごくせんTHE MOVIE』など話題作にも出演を果たしてきた。

 アミューズに所属する賀来はこれまで、福山雅治や佐藤健、三浦春馬といった先輩、同世代の大きな影に隠れてきた印象だった。2枚目俳優を代表する彼らだが、賀来は独自の路線でブレイクを果たそうとしている。

 賀来を“イケメン俳優”という枠組みで捉えている視聴者も少なくないだろう。しかし彼の初舞台は『勇者ヨシヒコ』シリーズで知られる福田雄一演出の『スマートモテリーマン講座』。以来、ムロツヨシや佐藤二朗などと並ぶ“福田組”としての一面を持つ賀来は、コメディーでもトップクラスの実力を持つ”3枚目俳優”なのだ。

 現在放送中の『海月姫』(フジテレビ系)も芳根京子演じる倉下月海ら“尼~ず”のコミカルな演技が話題になっている。純愛路線という従来の“月9”の印象を覆すハチャメチャラブコメディーとして仕上がっている印象だ。そして、2月26日に放送された第7話から、世界規模でセレクトショップ展開している実業家カイ・フィッシュ役として出演した賀来。冷静沈着でクールなエリートを見事に演じていた。

 賀来の役どころは、月海がデザインしたクラゲ服を月海とともに買取り、世界一のデザイナーに育て上げようとする、そのためなら手段を選ばないというもの。落ち着いた佇まいで、「あの女の格好をしたやつは邪魔だ」と吐き捨てる姿は、「こういう社長キャラいるよな」と思わせてくれる完全な悪役だった。

 一方、“尼~ず”と初めて対面するシーンでは、まやや(内田理央)にハンガーラックで追突され、ばんばさん(松井玲奈)に「ただの暇人か。なら手伝え」とこき使われる。役が役なだけに『サラリーマン左江内氏』(日本テレビ系)や『宇宙の仕事』(Amazonプライム)のような振り切った演技ではないものの、コメディーならではの間の取り方は抜群の安定感があり、安心して観ていられる。そして同時に「何かやらかしてくれないかな」という期待感まで持ってしまう。 

『斉木楠雄のΨ難』に登場する賀来賢人 (c)麻生周一/集英社・2017映画「斉木楠雄のΨ難」製作委員会

 昨年は福田監督作品である『斉木楠雄のΨ難』に出演。そのコメディセンスをスクリーンで披露すると同時に、ドラマ『愛してたって、秘密はある』(日本テレビ系)ではサスペンス、池井戸潤原作『アキラとあきら』(WOWOW)ではヒューマンドラマに挑戦するなど、その振り幅が確実に認められてきている。

関連記事