広瀬アリス&水上京香、幸せのために選んだものとは? 『わろてんか』が描いた“優しい嘘”
3月3日放送の『土曜スタジオパーク』(NHK総合)のゲストに、松尾諭と水上京香が出演した。2人は『わろてんか』(NHK総合)の第22週「夢を継ぐ者」において、キーパーソンとなる人物。リリコ(広瀬アリス)と四郎(松尾諭)、隼也(成田凌)とつばき(水上京香)。それぞれが自分たちなりの幸せを見つけ、北村笑店から去っていく。付かず離れずの恋愛模様が似ているようでどこか違う2組だが、一つ共通している部分がある。歌子(枝元萌)のセリフに「ええ嘘は相手のためを思ってつく嘘や」、そして「あんたら優しいな。相手を思って嘘ついてる」とてん(葵わかな)がリリコと四郎に声をかけるシーンがあったが、これは隼也とつばきにも当てはまることでもあった。
オーケストラで演奏することが夢だった四郎は、誘われている楽団と一緒に上海へ行きたいのが本心だが、相方のリリコのことも思って大阪で漫才を続けたい。一方のリリコは、四郎と一緒にいたいが、彼が上海で夢を叶えられるなら、1人北村笑店に残る覚悟でいる。互いが相手を思い、優しい嘘をつき合う2人に、てんが本当の気持ちを打ち明けるように提案する。旅芸人一座で育ったリリコは、四郎と出会ったことで女性としてのささやかな幸せ、当たり前の幸せに気付くことができた。「この幸せ、手放しとうない。うちのこと放さんといて!」とリリコが本心を吐き出すと、四郎も「リリコ、僕についてきてほしい」と共に上海行きを決意する。めでたく結婚も済まし、北村笑店に籍を残したまま、上海へと旅立ったリリコと四郎だが、広瀬と松尾は舞台裏でも仲が良いようで、それはTwitter上でも度々やり取りしている様子が見られる。『スタジオパーク』では、VTRに広瀬が登場し、松尾を「よく喋る寂しがり屋」と紹介した。
優しい嘘をついていたのは、隼也とつばきもそう。中之島銀行の頭取の娘であるつばきと、資金の取引相手である北村笑店の息子・隼也は、昭和初期では決して一緒にはなってはいけない相手だった。つばきを思い嘘の結婚報告の手紙を送る隼也、家を飛び出してきたつばきは最後の挨拶にと隼也のもとを尋ねる。「初めて会うた時からずっとずっと好きや」という隼也の言葉に、「それだけでもう十分です」とつばきは笑顔で答える。思いが止まらなくなった隼也は、出て行くつばきを追いかける選択を取る。
それは、北村家の跡取りとして面倒を見てきた風太(濱田岳)、母親として社長として厳しく育ててきたてんを裏切ること。「今日を限りにあんたは北村の人間やない。もう二度とうちの敷居をまたいだらあかん!」と勘当を言い渡すてんであったが、これは過去に藤吉(松坂桃李)と駆け落ちした際のシチュエーションと同様。きっと、てんの脳裏には母親としての厳格な心と、卓を囲んで食事をした2人を送り出してやりたい気持ちで揺れ動いていたはずだ。つばきを追いかける隼也の背中も見送らずに、涙を堪えていたてんもまた、優しい嘘をついていたのだろう。