「週末映画館でこれ観よう!」今週の編集部オススメ映画は『CINEMA FIGHTERS』『風の色』
リアルサウンド映画部の編集スタッフが週替りでお届けする「週末映画館でこれ観よう!」。毎週末にオススメ映画・特集上映をご紹介。今週は、編集スタッフ2人がそれぞれのイチオシ作品をプッシュします。
『CINEMA FIGHTERS』
横浜(DeNA)ベイスターズファン歴、今年で23年目。長かったオフシーズンも終わり、来週からキャンプが始まることにウキウキしている石井がオススメするのは、『CINEMA FIGHTERS』。
作詞家・小竹正人が生み出したLDH楽曲を、河瀬直美監督をはじめとする6人の監督が映像化した短編オムニバス。昨年6月に開催された「ショートショート フィルム・フェスティバル&アジア」での特別上映から、待望の全国上映となる。
それぞれ約15分の作品にも関わらず、一作品ごとの見応えは長編映画と遜色ない。特に河瀨直美×山田孝之×石井杏奈でおくる「パラレルワールド」。「もし、あのとき、こうしていれば……」誰もが一度は思うこの感情を、山田と石井の瑞々しいやり取りを通し、切なくノスタルジックに映し出す。山田が高校生役を演じることに疑問を持つ方もいると思うが、これが驚くほど自然に“高校生”に見えるのだ。
昨年放送された『山田孝之のカンヌ映画祭』(テレビ東京)を観ていた方なら、河瀬×山田がタッグを組んでいる本作を絶対に見逃してはならない。河瀬監督は、「山田くんならカンヌの俳優賞、あなたなら取れる。私とやれば。…やる?」と、『カンヌ映画祭』で語りかけていた。その言葉どおり、本作の山田は、これまでとは一味違う演技が引き出されている。“キャラクター”になることもなく、声のトーンを変えるでもなく、どこにでもいる普通の高校生として、佇む山田。全編ほぼアドリブ芝居だったようだが、相手役となる石井の言葉に即座に反応し、“素”の山田孝之となる瞬間が垣間見えるさまは、今までになく新鮮だった。
そのほか、AKIRA、鈴木伸之、町田啓太、Dream Ami、岩田剛典が主演を務める各短編も見応え十分。リアルサウンド映画部では、近日中に「パラレルワールド」の石井杏奈インタビューを掲載する。こちらも是非お楽しみに。
■公開情報
『CINEMA FIGHTERS』
全国公開中
出演:山田孝之、石井杏奈、 AKIRA (EXILE)、水崎綾女、鈴木伸之、 町田啓太、岩田剛典、桜庭ななみ、 Dream Ami、鹿賀丈史、玄理
監督:河瀬直美『パラレルワールド』、A.T.『キモチラボの解法』、萩原健太郎『Snowman』、齋藤俊道『色のない洋服店』、常盤司郎『終着の場所』、落合賢『SWAN SONG』
配給:LDH PICTURES
上映時間:94分(全6作品)
(c)2017 CINEMA FIGHTERS
『風の色』
季節の変わり目は必ず風邪を引きますが、予防接種完了済み、インフルエンザ対策は万全です。そんな、リアルサウンド映画部のピュアガール担当・大和田がオススメするのは、『風の色』。
『猟奇的な彼女』のクァク・ジェヨンが監督を務め、古川雄輝が主演を務める日韓合作のラブストーリー。北海道と東京を舞台に、幻想的な恋模様が描かれます。試写で見た感想をひと言でいうと、恋愛ミステリー的な要素が散りばめられた作品で、観進めていくうちにどんどん謎が深まっていくような、引き込まれる作品でした。
特筆すべき点は、1人の役者が2役を演じているところ。古川は青年の涼(りょう)、そして天才マジシャンの隆(りゅう)を演じます。役者自身も同一人物で、「りゅう」「りょう」と名前が似ている2人は、面白い具合に観ている方に混乱を招きます。そしてもう一人、藤井武美が演じる涼の恋人・川口ゆりと隆の恋人・最上亜矢。こっちも混乱します。今は涼なの? 隆なの? ゆりなの? 亜矢なの? と、4人の言動には何一つ目が離せない状況になるでしょう。
そして、舞台となる北海道の札幌、小樽、綱走、知床の壮大な景色も見どころです。監督が、岩井俊二の『Love Letter』との出会いを受けて、北海道で映画を撮るという夢を叶えたのが本作。北海道の景色をバックに描かれる4人の恋愛ストーリーの謎をぜひ、劇場で紐解いてみてください。
■公開情報
『風の色』
TOHOシネマズ 日本橋ほか、全国公開中
監督・脚本:クァク・ジェヨン
出演:古川雄輝、藤井武美、石井智也、袴田吉彦、小市慢太郎、中田喜子、竹中直人
原作小説:「風の色」(講談社刊)(著:鬼塚忠/原案:クァク・ジェヨン)
配給:エレファントハウス/アジアピクチャーズエンタテインメント
(c)「風の色」製作委員会
公式サイト:http://kaze-iro.jp/