『スター・ウォーズ』シリーズ、成功の秘訣とは? ルーカスフィルム社長キャスリーン・ケネディに訊く
ついに公開を迎えた『スター・ウォーズ』シリーズ最新作『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』。日本を含め世界中で早くも大きな話題になっているが、『スター・ウォーズ』シリーズは、2015年公開の『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』を皮切りに、2016年にはアナザー・ストーリーとなる『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』が公開。さらに、2018年には若き日のハン・ソロを描いた『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』、2019年には続3部作のラストを飾る『スター・ウォーズ/エピソード9(仮題)』が控えるなど、1年に1本のペースで新作が公開されている。
リアルサウンド映画部では、ライアン・ジョンソン監督のインタビューに続き、ルーカスフィルムの社長で、『スター・ウォーズ』シリーズを仕切るプロデューサーのキャスリーン・ケネディにインタビューを行った。『最後のジェダイ』の話はもちろん、降板劇が続く監督の人選や作品の製作ペースの速さについて話を聞いた。
「作品の完成度に対するハードルはものすごく高く設定している」
ーー今回の『最後のジェダイ』の監督にライアン・ジョンソンを抜擢した最大の理由は?
キャスリーン・ケネディ(ケネディ):これまで彼がバラエティに富んだ様々なジャンルの作品を手がけていたことが大きいわね。『LOOPER/ルーパー』では、監督として大きなステップアップを遂げていて、しかも『スター・ウォーズ』に近い印象も受けたの。大きなアイデアを持っていて、ストーリーの描き方も非常にうまい。ユーモアのセンスもあるし、ビジュアルエフェクトも巧みに使える。いろんな意味で優れている監督だと感じたから、『最後のジェダイ』を彼に任せることにしました。
ーー『最後のジェダイ』は上映時間が2時間32分と『スター・ウォーズ』シリーズ最長です。あなたの立場からすると、上映時間をもっと短くしたい気持ちもあったのでは?
ケネディ:確かにもっと短くしたいとは思っていた。だけど、この濃厚で複雑な物語を伝えるためにはこれだけの長さが必要だとライアンから説明されて、確かにその通りだと納得したの。観客が長く感じなければいいわけで、私たちもそういうかたちで彼を全力でサポートしたわ。
ーー『最後のジェダイ』に続く『エピソード9』の監督には、当初『ジュラシック・ワールド』のコリン・トレボロウが抜擢されていましたが、ビジョンの相違により降板、結局『フォースの覚醒』のJ・J・エイブラムスが再登板することが発表されました。来年公開の『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』も製作途中でクリストファー・ミラー&フィル・ロードからロン・ハワードへの監督交代劇がありました。この事実からは『スター・ウォーズ』映画の監督のハードルの高さが想像できます。
ケネディ:作品の完成度に対するハードルはものすごく高く設定してあるし、世界中の『スター・ウォーズ』ファン同様、私たちの作品に対する期待値も相当高い。『スター・ウォーズ』映画を監督するには様々なスキルが必要で、それと同時に、何百人の人々を指揮するための強いリーダーシップも必要になってくる。本当にこの人はこの作品の監督に適任なのか、それは常に厳しい目で見ながら、作品にとってベストな選択をしています。
ーーそういう意味では、『エピソード9』に続く新しい3部作の監督にライアン・ジョンソンが決まったことから、『最後のジェダイ』の作品の完成度の高さがうかがえます。
ケネディ:『最後のジェダイ』は、まず脚本が素晴らしくて、ライアンの演出も見事で、とにかく美しい作品なの。ライアンにとって、大きなステップアップとなる作品になると思う。この難しい作品を見事にやってのけたライアンと、また新しい3部作で一緒にできるのは私自身もとても楽しみだわ。
ーー『フォースの覚醒』から『最後のジェダイ』、『最後のジェダイ』から『エピソード9』など、前後の作品のつながりは非常に重要ですよね。その辺りはどのようにコントロールしているのでしょうか?
ケネディ:大事なのは監督同士の対話。だから脚本家も含めて直接話をしてもらっているの。直結する作品の監督同士だけでなく、もっと前の作品で監督を務めた人とも話をしてもらいながらブレーントラストをして、様々な情報交換をしてもらっているわ。