櫻井翔のコメディセンスは想像を超えていたーー『先に生まれただけの僕』制作陣インタビュー

――福田さんは口述筆記で脚本を書かれるそうですが、水田さんは演出をしていて、口述筆記だからこそのセリフの生っぽさみたいなものを感じましたか?

水田:これはドラマや映画の現場では稀なことなのですが、今回の現場では俳優からセリフを言いづらいと言われたことはなかったです。例えば、駅のアナウンスのように気持ちの入らない言葉なんて世の中にはいっぱいあるのですが、映画やドラマのセリフだとそうはいかなくて(笑)。でも、今回はそう言われることが一度もなかったので、「さすがは福田さん!」と思いました。

福田:僕が口述したことを文字に起こしてくれるアシスタントの男の子がいるのですが、台詞を書くたびに、その台詞は耳で聞いてわかるか、彼に問いかけます。当然、状況を明らかにする説明台詞も出てくるのですが、そこにも感情を乗せていかないと観てくださっている方の耳にも届かないので、説明台詞にも必ず感情的な何かを入れるように、常に意識しています。何より、自分が口に出して気持ちが悪い台詞は書かないですね。

「生徒役は無名の子ばかり」


――『先に生まれただけの僕』は、日本テレビ系の土10枠で放送されますが、この時間帯だと、ご覧になられる視聴者は高校生であったり、その親世代の方であったり、とても幅広いと思うのですが、その方々にどういうところを楽しんでいただきたいですか?

福田:まず、教育に物申したいというのは何もないです。結局、ドラマはエンタテインメントなんですよね。今、いろんなことをお話させていただきましたけど、面白いドラマになってくれるのが一番の目的ですから。ただ、あわよくばですけど、子供と親御さんが一緒の部屋でこのドラマを観てくれるとうれしいです。それで「学校ってこうなの?」という会話の糸口になってくれればうれしいですね。

水田:演出としては俳優の演技を楽しみにしてほしいです。櫻井翔くんをはじめ、個性豊かで確実に腕のある役者がそろっているので、そこは無条件に楽しんでいただけると思います。あと、(生徒役の)とてもフレッシュな子供たちが300人近く出てくるので、そこにも注目していただければと。

福田:水田さんがおっしゃったとおり、生徒役は無名の子ばかりなんです。芝居経験も少ないのですが、撮影までにたくさん稽古をしていました。一生懸命に頑張っていた彼、彼女たちの姿は見どころだと思います。ほとんどの連続ドラマは撮って出し的に過酷なスケジュールなものが多いですが、このドラマは準備期間も含め、相当贅沢なドラマになっていると思います。

(取材・文=馬場英美/写真=大和田茉椰)

■放送情報
『先に生まれただけの僕』
10月14日より、毎週(土)22時〜
※初回は14分拡大のため、〜11時8分まで
出演:櫻井翔、蒼井優、多部未華子、瀬戸康史、井川遥、風間杜夫、高嶋政伸
脚本:福田靖
音楽:平野義久
チーフプロデューサー:西憲彦
プロデューサー:次屋尚、高橋史典(ケイファクトリー)
演出:水田伸生 ほか
制作協力:ケイファクトリー
制作著作:日本テレビ
(C)日本テレビ

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