『カンナさーん!』渡辺直美のママ姿に共感の嵐 豪快さの中にあるワンオペ育児のリアリティ
「この時間に家事しないでいいって、ラクだわ~」。『カンナさーん!』(TBS系)第4話に登場したこのセリフは、日本中の働く母が一斉に「わかる~」とつぶやいたのではないかと思うほど、リアリティのある言葉だ。渡辺直美演じる河東カンナが、浮気夫・礼(要潤)と離婚し、パワフルに仕事やワンオペ育児に奮闘するホームドラマ『カンナさーん!』。
カンナを取り巻く環境は、「浮気ではない、本気だ」と言い放つゲス夫に、嫌味しか言わない姑など、一見、現実とかけ離れていると思える人々ばかり。けれど物語の中には、小さな子どもを抱えるワーキングマザーにとって、驚くほど共感できる要素がふんだんに盛り込まれている。
育児をしている以上、当然のことながら子どもが最優先。どんなに仕事が残っていても保育園の迎えに間に合う時間に退勤し、夕食を作り、食べさせ、入浴し、寝かしつけ、食器を洗い、洗濯物をたたむ…終わらなかった仕事があれば、それから取りかかる。そうやって毎日が、怒濤のように過ぎていく。ドラマで描かれるカンナの日常は、なにも大袈裟なものではない。むしろ、働く母の多くが日々経験している日常の光景とも言えるだろう。
仕事と家庭の両立であまりに忙しい日々を過ごしていると、子どものために頑張っているはずなのに、結果として子どもを傷つけているのではないかと自己嫌悪に陥ることもある。子どもを持ったことも、今の仕事を選んだことも、離婚したことも、すべて自分で決めたこと。そう思うと、何もかもが自分のせい、自分が我慢すればみんなが幸せになれるのではないかと感じてしまう。
だが、決してそんなことはない。ドラマの中でも、麗音はいつだってカンナの味方だ。子どもゆえに、「パパのカキ氷が食べたい」とワガママも言うし、夫の浮気相手と一緒に海に行こうと無茶苦茶なことを言い出すこともある。けれど、「ママはえらいね、がんばって」と頭をなでてくれるし、いつだって「ママ、大好き」とカンナを肯定し、ママを誇りに思っている。そんな子どもの優しさに癒やされながら、母親たちは皆、どうにか毎日を乗り切っている。
どんなに「やってやろう」と意気込んでも、あのカンナですら自分ひとりではこなせないのが子育て。どうしても子どもを預けなくてはいけない場面もある。会社では「これだからママは…」と皮肉を言われることもある。だが、カンナの周りには、個性を認めてなんだかんだ手助けしてくれる姑、発言はちょいちょいおかしいが、なんだかんだカンナを思う元夫、事情を理解して、なんだかんだ協力してくれる仲間もいる。孤独になりがちな育児だが、ふと周りを見れば、自分にだって支えになってくれる人はいるものだ。そんな人たちに時に甘えながら、どんな状況でもまるごと笑い飛ばすカンナは輝いているし、姑の嫌味に言い返す姿も痛快でたまらない。