『ジョン・ウィック:チャプター2』監督が語る、キアヌ・リーブスの“凄さ”とアクションの重要性
「キアヌ・リーブスはどうやったって殺すことができない人物」
ーーアクションシーンでは、カットを複雑に割らず、長回しで撮っているのも印象的です。
スタエルスキ:1作目からそういう意識を持ってやっているよ。僕が目指しているのは、アジア的なアクションなんだ。そのようなアクションは、相当練習を積まないと長回しで撮ることができない。それこそさっき挙げたような黒澤映画やセルジオ・レオーネからの影響が強くてそういうスタイルになっているんだけど、僕はライブダンスショーを見せるような形で映画を作っている。2時間のダンスショーがあるとしたら、そのダンスショーに出演するダンサーは、2時間のために1年間のリハーサルをする。だから失敗は許されないわけなんだ。そういう意識で僕たちも映画を作っているから、カメラワークでごまかそうとかはまったく考えていない。できるフリをするのではなく、本当にできるようになって、それを堂々と見せる。だから、僕らが俳優にカメラを向けている時は、本当に俳優やスタントマンの自慢をしているようなものなんだ。その分、相当な訓練を積まないといけないのだけどね。
ーーそんなキアヌ・リーブスとあなたは、あなたが彼のスタントダブルを務めた『マトリックス』など長年にわたる付き合いがありますよね。彼の役者としての魅力はどのようなところにあると思いますか?
スタエルスキ:キアヌは俳優というよりはフィルムメーカーであり、パフォーマーだ。何か秘訣だったりマジックみたいなものはなくて、とにかく努力して、理解して、きちんと課題をやる。遅刻もしないし、ビジネスもわかっているし、カメラの組み立て方だって知っている、非常に優秀な人間なんだ。プロデューサーも監督も自分自身でアクションもできるからね。何よりいい映画を作りたいという思いや映画作りに対しての情熱に溢れていて、童心を忘れずにそれを楽しんでいる。20人を撃つようなシーンを撮って、楽しいと思ってくれるんだ。そういうところが彼のいいところだね。僕がこの先ずっとキアヌの映画を撮ることになっても何の問題もないよ。ハートがあり、情熱があり、いい意味でしぶとい。どうやったって殺すことができない人物だね。
ーータイトルがただの『2』ではなく、『チャプター2』というのも面白いですね。
スタエルスキ:これは本のチャプター(章)からきているんだ。今回の作品は、前作から時間の経過がなく、すぐに始まるからね。前作の『ジョン・ウィック』は2日半しか描いていないし、今回の『ジョン・ウィック:チャプター2』も同じなんだ。『ジョン・ウィック:チャプター3』もたぶんそうなるよ。すべて合わせても1週間ぐらいの話に収まるからチャプターなんだ。このシリーズでは、前作にも今作にも登場する“コンチネンタル(ホテル)”の世界を描いている。コンチネンタルには50のチャプターがあって、今はまだその中から3つのチャプターを取り上げただけ。これはまだコンチネンタルがある世界の中のほんの一部に過ぎないんだ。そういう考え方だよ。
ーーなるほど。既に動いている『3』に続いて、TVシリーズの制作も決定しているそうですね。TVシリーズはどのような内容になるのでしょうか?
スタエルスキ:TVシリーズは今練り始めているところなんだ。ジョン・ウィックだけじゃなくて、より世界を描いたものになると思う。ひとつ言えるのは、TVシリーズは相当面白いものになるということだね。コンチネンタルは世界中の各都市にあるから、世界中のアサシンやマフィア、ヤクザなどが登場することになるんじゃないかな。
(取材・文=宮川翔)
■公開情報
『ジョン・ウィック:チャプター2』
TOHOシネマズ みゆき座ほか全国公開中
監督:チャド・スタエルスキ
出演:キアヌ・リーブス、コモン、ローレンス・フィッシュバーン、ルビー・ローズほか
配給:ポニーキャニオン
原題:「John Wick : Chapter 2」/2017年/アメリカ
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公式サイト:http://johnwick.jp/