『20センチュリー・ウーマン』の“ポリフォニー”が描き出す、1979年という時代

 当時、あまりにもナイーブな大統領と目され、2期目を迎えることなく任期4年で政権から退いたカーター大統領。20世紀は遠くなりにけり。しかし、我々の生きるこの世界は、紛れもなくその延長線上にある。それどころか、ドナルド・トランプの登場を、ロナルド・レーガンの再来と目する声も目立つ。そう、この映画は、今、我々が生きるこの世界を改めて考える上でも……マイク・ミルズの言葉を借りるならば、「現代社会のスタート地点」を見つめ直すという意味でも、非常に示唆的な一本となっていると言えるだろう。その余韻は、甘美なだけは無く……ときに刺激的で自省的な観点を、観る者の心にいつまでも与え続けて止まないのだ。

■麦倉正樹
ライター/インタビュアー/編集者。「smart」「サイゾー」「AERA」「CINRA.NET」ほかで、映画、音楽、その他に関するインタビュー/コラム/対談記事を執筆。

■公開情報
『20センチュリー・ウーマン』
丸の内ピカデリー、新宿ピカデリーほか全国公開中
監督・脚本:マイク・ミルズ
出演:アネット・ベニング、エル・ファニング、グレタ・ガーウィグ、ルーカス・ジェイド・ズマン、ビリー・クラダップ
提供:バップ、ロングライド
配給:ロングライド
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公式サイト:www.20cw.net

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