『孤独のグルメ』『SRサイタマノラッパー』……春の深夜ドラマはカルト的人気作が目白押し?
4月クールの新・深夜ドラマをチェック! 人気シリーズや、カルト的人気を博した映画のドラマ化や、アニメ業界で名を馳せた有名クリエイターが深夜ドラマに参戦、タイトルと内容ですでに問題作として世間を賑わせている秋元康原作のドラマなど、今シーズンも様々な趣向を凝らした深夜ドラマが目白押しとなっている。その注目すべきドラマを紹介していこう。
今期もテレビ東京の深夜ドラマが熱い
まずは、今や深夜ドラマの雄と言えるほど名作を次々と輩出しているテレ東金曜深夜のドラマ帯。前期の『バイプレイヤーズ』のドラマ内でも話題となっていた、深夜ドラマの大ヒット作『孤独のグルメSeason6』が4月7日に帰って来る。もう言わずと知れた久住昌之原作を松重豊主演で実写化した代表作。2012年にSeason1が放送され、5年で6シーズンも作られるドラマは海外でも珍しい。レギュラー放送が終了しても、Abema TVなどネット配信番組として何度もリピート放送され、今一番の優良コンテンツとして需要が高いこの作品。54歳となった松重が今回もどんな食べっぷりを見せてくれるのか楽しみである。
そして『孤独のグルメ』の次の時間帯に放送される(1月期は『山田孝之のカンヌ映画祭』を放送)今シーズン一番の注目作とも言えるのが『SRサイタマノラッパー~マイクの細道~』。2009年に自主映画にも関わらず異例のヒットを飛ばし、数々の賞を受賞した入江悠監督・脚本の映画『SR サイタマノラッパー』。この8年前(映画のクラクインから10年)から続くシリーズが今回まさかのドラマ化を果たした。
映画は埼玉県の田舎街を舞台に、ラッパーとしてライブをすることを夢見る青年たちの姿を描いた青春ストーリー。日本語ラップとヒップホップをやることへの壁やラップの本質を、不器用ながらもきっちり描いた作品として評価が高い。今回のドラマでは、埼玉の片田舎で生まれ育ったヒップホップグループ「SHO-GUNG」のメンバー、IKKU(駒木根隆介)、TOM(水澤紳吾)、MIGHTY(奥野瑛太)の3人が、東北各地をさまよいながら、ずっと追い続けてきた“あきらめきれない夢”、“青春”とケジメをつける姿を描く。主演にオリジナルメンバーを揃えてきたテレ東の英断にも拍手を送りたい。また、オープニングテーマはRHYMESTERが担当。映画にも造詣が深いRHYMESTERの宇多丸が『SR サイタマノラッパー』ファンだったことから今回のタイアップが実現したという。そんな主題歌にも注目だ。
さらにその次の時間帯には『CODE:M コードネームミラージュ』が放送される。アニメ『魔神英雄伝ワタル』や、ゲーム『天外魔境』、『サクラ大戦』などを手がけたクリエイター広井王子が原作を手がけたオリジナルドラマ。最新のCGを駆使し、警察庁公安特殊課のメンバーがアクションを繰り広げるというハードボイルドな内容になっており、主演に『仮面ライダーW』の桐山漣を迎える。なお余談だが、佐野ひな子のコスプレ要素がある衣装からも目が離せない。
勢いに乗るテレ東は、なんとこのご時世に木曜深夜25時にドラマ枠「木ドラ25」を新設。その最初のドラマが『100万円の女たち』。青野春秋原作のこのドラマは、主人公の小説家の男と同居する5人の女との不思議な生活を描く。主演に映画『君の名は。』の大ヒット曲「前前前世」で一躍有名となったRADWIMPSの野田洋次郎。野田は初主演をした2015年の映画『トイレのピエタ』で第39回日本アカデミー賞新人賞の受賞経験があり、ドラマは今作が初出演である。キャストには同居する5人として、松井玲奈、新木優子、武田玲奈、福島リラ、我妻三輪子と注目の若手女優が揃うほか、死刑囚の主人公の父親役でリリー・フランキーが出演する。
ほかには、土曜深夜の『マッサージ探偵ジョー』(前番組は『銀と金』)。KAT-TUN・中丸雄一がマッサージ師の探偵となり、事件を解決してしていくという話。毎回登場する女性ゲストへのセクシーなマッサージシーンにも深夜だけに期待が高まる。テレ東は一見実験的なドラマを制作しているようで、実はしっかりとした実力のある俳優や制作陣を起用している。その起用の仕方に柔軟性があり、そう来たか! と思わせるのがテレ東の面白さで、今シーズンのドラマもそれが色濃く出ている。
剛力彩芽は深夜ドラマの女王に?
テレ東以外でもちろん注目すべき深夜ドラマはたくさんあり、各局織り交ぜながら紹介していこう。
まずは、毎シーズン話題作を提供する深夜ドラマのメジャー枠、テレビ朝日金曜23時は剛力彩芽主演『女囚セブン』。昨年は『ドクターカー』『グ・ラ・メ!~総理の料理番~」、昨シーズンは『レンタルの恋』と深夜ドラマの主演が続き、今や深夜ドラマの女王として確立しつつある剛力彩芽。深夜だけに様々な役を演じてきた剛力だが、今回は仲間の芸妓を殺した冤罪をきせられ、刑務所に送られてしまうという謎多き京都の芸妓だった女囚役。ほかの6人の女囚である安達祐実、トリンドル玲奈、山口紗弥加、平岩紙、橋本マナミ、木野花が剛力に壮絶なイジメを行うも、怪力と合気道で彼女らのイジメをかわしていくという、女囚同士の壮絶なバトルが描かれる。京都弁と激しいアクションという剛力の新たな魅力が満載だ。また、日本で女囚ものの代表作である『女囚さそりシリーズ』に主演した梶芽衣子が、剛力の母親代わりの役を演じているのも憎い演出である。梶芽衣子ファンのタランティーノも見逃せない作品となりそうだ。