『胸騒ぎのシチリア』ルカ・グァダニーノ監督インタビュー
「ザ・ローリング・ストーンズはこの映画の柱」 『胸騒ぎのシチリア』監督インタビュー
「15歳の頃の思い出が製作の根底にあったのかもしれない」
ーーストーンズの音楽もパンテッレリーアの街並みもそうですが、ラフ・シモンズが手がけたDiorのファッションなども、“出演者”として大きな役割を果たしているように感じました。監督自身は、音楽や衣装、ロケーションなどの要素は映画にとってどのような存在だと考えていますか?
グァダニーノ:映画撮影の要素は僕だけが考えているわけではないから難しい質問だけど、僕は映画を音と映像で力強くしたいということを最優先している。だからと言って、ロケーションをただの受動的な背景にはしたくない。パンテッレリーア島に、キャラクターたちの理性を破壊して、粉々にして、かき乱してほしかった。この島は、4人が互いに溺れていく様を描ける場所として、素晴らしい役目を果たしてくれたよ。
ーーシチリア生まれのあなたがこの場所で撮影を行うことは何か役立つことはありましたか?
グァダニーノ:このストーリーについて考え始めた時、僕は登場人物たちの“嫉妬と欲望”をシチリア州にあるパンテッレリーア島の景色とともに映し出したいと思った。パンテッレリーアに初めて行ったのは15歳の時。大勢の友人とね。初めての両親のいない休暇で、初めて自由を得たんだ。僕たちは1人ひとりアイデンティティを探していた。誰が誰を、どう欲しているかということをね。僕は若者たちの間抜けなとげとげしさにとても影響を受けた。この映画と同様、風がとても怖かったのを覚えている。僕たちの家があった谷に吹いていた不気味な風を。あの休暇は、僕を“今の僕”に導いてくれた、人生における変化の瞬間だった。そんな思い出が、製作の根底にあったのかもしれないね。
(文=宮川翔)
■公開情報
『胸騒ぎのシチリア』
新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座ほか
にて公開中
監督:ルカ・グァダニーノ
出演:ティルダ・スウィントン、ダコタ・ジョンソン、レイフ・ファインズ、マティアス・スーナールツ
配給:キノフィルムズ
原題:A Bigger Splash
2015年/イタリア・フランス/英語/125分/ビスタ/カラー/5.1ch/日本語字幕:石田泰子
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公式サイト:sicily-movie.com