パク・チャヌク監督最新作、カンヌ国際映画祭でお披露目 日本統治下の韓国を舞台に
『オールドボーイ』のパク・チャヌク監督最新作『THE HANDMAIDEN(英題)』の記者会見とレッドカーペット、公式上映が、現地時間5月14日、フランス・カンヌにて行われている第69回カンヌ国際映画祭で行われ、チャヌク監督をはじめ、主演のキム・ミ二、キム・タエリ、ハ・ジョンウ、チョ・ジヌンが参加した。
『THE HANDMAIDEN』は、イギリスのミステリー作家サラ・ウォーターズの『荊の城』を原案にしたサスペンス。1930年代日本統治下の韓国を舞台に、スラム街で詐欺グループに育てられた孤児の少女・スッキ、莫大な財産の相続権を持つ美しい令嬢・ヒデコ、ヒデコの財産を狙う詐欺師の“伯爵”らによる騙し合いや復讐を描く。
記者会見に出席したチャヌク監督は、日本統治下にあった韓国を舞台にしていることについて、「当時、人々が抱えていた心情はそれぞれ異なり、日本に支配されていながらも、日本人や日本の文化に強い憧れを抱く人もいました。そのような人たちが、日本に魅せられた理由やその心理を描きたい、と強く感じていました。韓国がどう、日本がどう、ということではなく社会のヒエラルキーや、個人個人の想いを描きたかったのです。1930年代の韓国は、日本風、イギリス風など様々な建物が建設され、文化的にも非常に興味深い時代だったのです」と、日本との繋がりを明かしながら、「日本人の令嬢であるヒデコも、ステレオタイプな貴族として描きたくなかった。実はとても悲しい一面を持つキャラクターです」と、キャラクターの描写にも触れた。
主人公のスッキを演じたキム・タエリは、「監督の作品に参加できたことを心より光栄に思います」と、大役に抜擢されたことを喜び、ヒデコを演じたキム・ミニも「とても楽しんで演じることができました」とコメントした。
“伯爵”と呼ばれる詐欺師役を演じたハ・ジョンウは、「撮影に入るまでに多くの時間をいただけたので、十分な準備をして臨むことができました。日本人になりすます詐欺師の役なので、できるだけ自然に見えるように気を付けました」と、自信を覗かせる。ヒデコの叔父役を演じたチョ・ジヌンが、「他のキャストの皆さんと違い、私は好きにやらせていただきました(笑)。」と答えると、会場は笑いに包まれた。
第69回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品されている本作。チャヌク監督やキャスト陣が参加したレッドカーペットには、各国メディアからの取材が殺到し、公式上映後は、スタンディングオベーションが8分以上続いた。コンペティション部門の授賞式は、日本時間5月22日の深夜に行われる。なお、『THE HANDMAIDEN』の日本公開は、2017年を予定。
■公開情報
『THE HANDMAIDEN(英題)』
2017年、全国ロードショー
監督:パク・チャヌク
出演:キム・タエリ、キム・ミニ、ハ・ジョンウ、チョ・ジヌン
配給:ファントム・フィルム
(c)CJ E&M Corporation
(c)Ian Gavan/Getty Images