脚本家・演出家/登米裕一の日常的演技論

Hey! Say! JUMP・山田涼介の“会話”はなぜ説得力を持つ? 『暗殺教室~卒業編~』の演技を考察

 カラオケに行っても誰かが歌うときは聴く。その代わり自分の歌も聴いてもらうという暗黙のルールがありますよね。自分が歌ってるときは聴いてもらったのに、人が歌ってるときはトイレに行ったりスマホをいじってると嫌われてしまいます。逆に人の歌を一生懸命聴いてくれる人が、最後に一曲だけ歌うとなったら、みんな一生懸命聴いてあげようと言う気になりますよね。

 誰よりも人の話を聞いて、リアクションを取る山田涼介君。みんなの感情を受け止める優しい潮田渚だからこそ、最後の最後で殺せんせーに対して自らアクションを起こすシーンで、観ている人をあれだけ惹きつけるのだと思います。

 もう1つ、山田涼介君は自分の“筋肉”を分かっている人だなと思いました。表情筋や、ちょっとした手の仕草もきれいですが、とくに菅田将暉君が演じる赤羽業との決闘シーンはキレッキレでした。肉体が説得力を持つ役者さんは、それだけで魅力的です。リアクション上手と書きましたが、見事なアクションが出来る俳優さんでもあると思いました。もっともっと山田君のポテンシャルを活かす作品に出て欲しいと願うばかりです。

■登米裕一
脚本家・演出家。映画『くちびるに歌を』CX『おわらないものがたり』NHK『謎解きLIVEシリーズ』などの脚本を担当。大学時代に旗揚げをした劇団『キリンバズウカ』の主宰も務める。個性豊かな登場人物たちによる軽快な会話の応酬を持ち味としており、若手作家の躍進著しい演劇界の中でも、大きな注目を集める。また演技指導家としても評価を得ており、現在多くのワークショップ依頼を受けている。

■公開情報
『暗殺教室~卒業編~』
公開中
原作:『暗殺教室』松井優征(集英社「週間少年ジャンプ」連載)
監督:羽住英一朗
出演:山田涼介、二宮和也、菅田将暉、山本舞香、桐谷美玲、竹富聖花、優希美青、上原実矩、橋本環奈、加藤清史郎、知英、成宮寛貴、椎名桔平
(c)2016フジテレビジョン 集英社 ジェイ・ストーム 東宝 ROBOT
(c)松井優征/集英社
公式サイト:ansatsu-movie.com

関連記事