成馬零一の直球ドラマ評論
嵐・二宮和也が、ドラマ『赤めだか』と『坊っちゃん』に挑む背景
一方、1月3日に放送されるのは、夏目漱石の名作小説をドラマ化した『坊っちゃん』(フジテレビ系)だ。二宮が演じる主人公の坊ちゃんは、短気で暴れん坊だが、嘘が嫌いで直情型の正義感を持つ型破りの江戸っ子。脚本は『フリーター、家を買う』の橋部敦子、『古畑任三郎』や『HERO』(すべてフジテレビ系)などを手掛けた鈴木雅之が演出を務める。
まだ放送されていないため、あくまで推測だが、爽快感のある気持ちのいい青春ドラマとなるのではないかと思う。
『赤めだか』は80年代後半、『坊っちゃん』は明治時代。舞台こそ過去だが、この二作で二宮に求められているのは血気盛んな青年だ。現在公開中の山田洋次の映画『母と暮らせば』の舞台は終戦直後で、二宮は吉永小百合の息子役を演じているが、時代を過去にして虚構性を高めれば、二宮の得意とする若者の芝居はまだまだ活かせるのだろう。今後は、現代モノはしばらく休んで、時代モノに活路を見出すのかもしれない。
■成馬零一
76年生まれ。ライター、ドラマ評論家。ドラマ評を中心に雑誌、ウェブ等で幅広く執筆。単著に『TVドラマは、ジャニーズものだけ見ろ!』(宝島社新書)、『キャラクタードラマの誕生:テレビドラマを更新する6人の脚本家』(河出書房新社)がある。