『木屋町DARUMA』インタビュー

武田梨奈が明かす、過激シーンを乗り越えた心境「落ちる所まで落ちて、見いだせる強さもある」

「全編を通して“人間のしぶとさ”を感じました」

 

ーーでも、武田さんがアクション以外でも実力を発揮できる女優だということは、多くのひとに伝わると思います。映画の中で友里は、人としてどんどん落ちぶれていくわけですが、そのことについてはどう思いましたか?

武田:最初に台本を読んだときは、「友里はかわいそうな女の子だな」という感想しか抱いていなかったんですけれど、実際に演じてからは、人間は落ちる所まで落ちて、初めて見いだせる強さもあるのかもしれないと思いました。諦めというか、一定のラインを越えちゃうと、もう開き直ってしまうというか。最後の方の友里は気が触れてしまっているけれど、セクハラをされて怯えていた頃より、精神的にタフになっている部分もあると思う。少なくとも、寺島進さんが演じる父親よりは強くなっていた。だから、落ちていくのはもちろん不幸なことなんだけど、それでも生きていこうとするしぶとさが、人間にはあるんじゃないかなって。

ーーギリギリまで追い込まれた人間の強さというのは、この映画のテーマのひとつかもしれません。

武田:そうですね。正直、男の美学とか裏社会の壮絶さを描いた作品なので、私には理解できない部分も多かったけれど、だからこそ、そこに染まりきらない友里を演じることができたとも思います。また、作品が完成した後、事務所の方と一緒に試写を観たのですが、男性と女性で大きく感想が違っていたのは、すごく印象深かったですね。男性は「かなりエグい作品だと聞いていたから覚悟していたけれど、それよりむしろ、勝浦や坂本(三浦誠己)に共感するところが大きかった」という感想が多かったのに対し、女性は「トラウマになってしまうようなショッキングな作品だった」という感想が多かったです。私も基本的には女性側の感想と同じだけれど、全編を通して“人間のしぶとさ”みたいなものは感じました。

ーー武田さんは、ご自身をしぶとい人間だと思いますか?

武田:わたしはかなりしぶといですよ(笑)。自分自身のことに関してはいつも納得していなくて、何かに挑戦して、自分を追い込んでいないと気が済まないタイプなんですよね。面倒臭い性格だし、もうちょっと器用に生きれたら良いなとも思うけれど、もし器用なタイプだったら、そもそもこの仕事はしていないはず。なにもせずに気楽に生きている自分は嫌なんですよ。多分、こういう性格になったのも、空手をずっと続けてきた影響があると思う。空手は対戦もするけれど、結局は自分自身との戦いで、試合に負けるって思ったら、本当に負けちゃうんですね。だから、最後の10秒まで気を抜くことができないし、そこで自分が試されるものでもあるんです。空手のそういう部分は、役者の仕事とも通じる部分があると思います。

 

ーーたしかに武田さんはストイックな側面が演技にも活かされていますよね。次はどんな役柄に挑戦してみたいですか?

武田:う〜ん、恋愛ものとか、アクションとか、とにかくいろんな役柄に挑戦してはみたいという願望はあるんですけど、最近はキリが無いので、とにかく片っ端から人間を演じてみたいっていう気分なんですよね。だから次は、まったく違う役柄を演じているかもしれない。自分がどう変わっていくのか、わからないからこそ楽しみでもありますね。

(取材・文=松田広宣)

■公開情報
『木屋町DARUMA』
2015年10月3日(土)より渋谷シネパレスほか全国順次ロードショー
キャスト:遠藤憲一、三浦誠己、武田梨奈、木下ほうか、寺島進、木村祐一
監督:榊英雄
(c)2014「木屋町DARUMA」製作委員会
公式サイト:http://kiyamachi-daruma.com/

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