ファブリーズの長男=高杉真宙の魅力は“品格”と“ちょいダサ”にあり!?

 さて話を戻して高杉くん。現在は『表参道高校合唱部!』で男子合唱部員として出演している。高杉の武器の一つであるナチュラルにビブラートがかかった声。それを合唱という形でストレートに堪能できるだけでもファンとしては嬉しい限りだが、宮崎祐という役柄がこれまた非常に高杉の「品」と「ちょいダサ」を引き立てている。『銀のスプーン』でも、品行方正・成績優秀・眉目秀麗なお兄ちゃんに「お母さんだと思っていた人と本当は血が繋がっていなかった」という過酷な運命が待ち受けていた。宮崎祐も、性格穏やかな隠れイケメンでありながら、クラスのリーダー各女子に窃盗の濡れ衣を着せられて登校拒否になってしまったり、親友男子を好きになり合唱部を辞めようとしたり、部員の中でも圧倒的に波乱万丈な物語を課せられている。これはもう「そういうことさせたくなる顔」としか言いようがない。人生の荒波にポンっと放り出したくなるような、そんなS心をくすぐられる男、それが高杉真宙なのかもしれない。しかし言い換えればどんな荒波にも揺るがない気高さが、彼にはあるということだ。人知れず親友に恋して「自分は異常なのではないか」と悩む宮崎。告白したものの「キモイ」と言われ、深く傷つくその姿に何人の視聴者が「キモくない! キモくない!」と絶叫したことだろう。ライトめな若手イケメン俳優では出せない(妙な)説得力が観る側の人間を宮崎祐に引きずり込む。ダメなのよ、志尊淳くんじゃおそらくダメなのよ!!

 初の写真集『METAMORPHOSIS』では妖艶な女装姿も披露した高杉。そういえば上遠野もニューヨーク女装バレエ団「グランディーバ」に武者修行に行ってたな……。品とダサさ、清潔感と倒錯性。一人称「僕」が誰よりも似合う高杉には、いつかまた昼ドラの世界に戻ってきて筆者の膝関節痛を癒して欲しいと願うばかりである。

■西澤 千央(にしざわ ちひろ)
フリーランスライター。好きな言葉は情熱です。ツイッターアカウントは@chihiro_nishi

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