【漫画】世界で唯一の人間になってしまったら? 生きづらい世界に希望を見出す漫画に共感の声

 子供の頃はみんな人間だったのに、いつしか自分以外の全員がバケモノになった。唯一の人間である私が生きるには、心の拠り所が必要で……。

 生きづらさを抱える女性を描く漫画がXにアップされ、3.2万を超える「いいね」が寄せられた。今回は作者である小森モコ(@komo_mok)氏に、創作のきっかけや作中の描写について話を聞く。(青木圭介)

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(作:小森モコ)

ーー本作を創作したきっかけを教えてください。

小森モコ:本作は元々、「アフタヌーン」の四季賞に応募するために描いた作品でした。2年ほど前に四季賞に応募して、中間までは通ったのですが、受賞には至りませんでしたね。描いたのは2年ほど前ですが、作品のテーマやキャラクターはそれよりもずっと前から頭にありました。

ーーXでの反響を見てどのように感じましたか?

小森モコ:物語は結構自分の経験とかをもとに考えていたんですけど、結構同じような感覚になっている方も多いんだなというのは感じました。あとは「ゆーこが可哀想」というコメントがあったのも印象的でしたね。たしかにその通りだというのはありつつ、人間は誰しも完全な善人ではいられないとも思っていて。主人公のこのみちゃんも完全な善人ではありません。なので難しいところもあるのですが、そのうえでいろいろな意見があるよねと、プラスな方向で反応を受け止めさせていただきました。

ーー引き留められたゆーこの皮が剥がれるシーンが印象的でした。

小森モコ:本作は、「他人をラベリングして見るな」というテーマで制作しました。このみちゃんはゆーこを、「自分よりも弱く逆らわない存在」とラベリングしていたんですよね。そのラベリングした姿が、丸くて可愛い見た目でした。でもその姿はゆーこの善意によって作られた、そしてこのみちゃんが見たいように見ていた姿です。ゆーこが家を出ていくという形で初めて反抗したときに、その無害なラベルが剥がれたんだと思います。

ーーラストシーンのハナちゃんの下半身が、まだバケモノのままになっている理由はあるのでしょうか?

小森モコ:人間だと理解できても、同じ人間だと思いすぎるのもよくないと思い、この形にしました。人間は人間同士理解できるところがあるけど、どうしても他人にはわからない部分もある。ハナちゃんの下半身とどうやって向き合っていくかが、このみちゃんの次の課題なんだと思います。

ーー本作のなかで、小森モコ氏自身が気に入っているポイントを教えてください。

小森モコ:本作は、「しっかりと会話をしてラベルが剥がれる」というラストを描きたくて描き始めたので、ラストシーンは気に入っています。手を繋ぎながら会話を始めて、何かに気づいてこのみちゃんの顔が赤くなり、ハナちゃんのバケモノの部分が溶けて人間になっている場面も含めて好きです。

ーー小森モコ氏が漫画を描き始めたきっかけは?

小森モコ:同じ作品の魅力をいいねと言い合うのが楽しくて、二次創作から漫画を描き始めました。でも当時のオタクへの風当たりとかも相まり、漫画は子供っぽくて描くのはいつか辞めないと恥ずかしいというイメージがあって。しかし大学で漫画の歴史や表現方法を語る「漫画文化論」という授業を受けた際に、漫画って恥ずかしくないって気づいたんです。同じタイミングで松本大洋先生の『東京ヒゴロ』という作品を読んで、歳をとっても一度諦めても、漫画を描いていいんだと思わせてもらいました。そこからオリジナル漫画の制作も始めて、今に至ります。

ーー最後に、漫画家としての今後の展望を教えてください。

小森モコ:まずは、専業作家として食べていけるようになるのが目標です。漫画の内容で言うと、「人に迷惑をかける漫画」をずっと描いていきたいと思っています。今ってどうしても、「人に迷惑をかける=悪」というイメージがあるじゃないですか。でも生きていれば迷惑をかけるのはしょうがない部分もあると思いますし、わがままを言ってもいいのかなと少しでも思ってもらえるような、作品を描いていきたいです。

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