篠原重工と警察の癒着を文春がスクープ? パトレイバー最新ムックの「パロディ記事」が凄すぎる

 5月14日のAmazon売れ筋ランキング「本」部門で、20位にランクインしていたのが『週刊文春エンタ+ 特集「機動警察パトレイバー」 (文春ムック)』(文藝春秋)である。15日から公開のシリーズ最新作『機動警察パトレイバー EZY』の公開に合わせて刊行されたムックだ。

出渕裕と押井守が語るパトレイバーの原点

『週刊文春エンタ+ 特集「機動警察パトレイバー」 (文春ムック)』(文藝春秋)

 アニメや特撮などに特化したムックとして刊行が続けられてきた『週刊文春エンタ+』。特集では毎回ひとつの作品にフォーカスし、関係者へのインタビューや読み物記事をまとめた内容となっている。今回は『機動警察パトレイバー EZY』の公開を受け、『EZY』監督の出渕裕氏や出演声優陣へのインタビューを交えつつ、これまでのパトレイバーシリーズを総ざらい。発売前に重版が決まるほどの売れ行きとなっている。

 シリーズのファンからすれば、まず見逃せないのが出渕裕氏と押井守氏の対談が収録されている点だろう。ネット上ではまことしやかに不仲説が流れている(そしてそのたびに否定されたりしている)この二人だが、今回の対談では長年の付き合いを感じさせる掛け合いを見せており、そもそも押井氏がパトレイバーに関わり始めた経緯が当事者の口から語られるなど、貴重な内容となっている。また、押井氏が監督を務めた実写版の『THE NEXT GENERATION』について出渕氏が語っているくだりは、シリーズファンならば必見。どこまでガチンコなのかはわからないながら、この部分を読むためだけに本書を買ってもいいくらいである。

 週刊文春らしい企画も充実。特にグッときたのは、いつもの週刊文春のフォーマットで「警察と篠原重工の癒着」や「黒いレイバー事件首謀者と女性警察官との熱愛」「篠原製OSの根本的欠陥」などについて報じるページである。ゆうきまさみ氏によるコミック版の読者ならおわかりだと思うが、このあたりはレイアウトも含めてまるっと『週刊パトス』のパロディのようなページとなっている。週刊文春の別冊ならではの企画であり、他のどの『パトレイバー』関連書籍も真似のできないものだろう。

オールドファンから『EZY』の入門者まで、新作鑑賞に欠かせない決定版

 もうひとつ、本書のポイントが、大量に存在する『パトレイバー』関連作品の基礎資料としても読むことができる点だ。まずOVA(アーリーデイズ)、劇場版2作、TV版、NEW OVA、コミック版、さらに小説や実写ドラマが入り混じった『パトレイバー』関連作品をマッピングし、どれとどれが世界観を共有しているのかを解説。コミック版については各エピソードを整理ししてタイムライン化し、それぞれ対応する巻数と併記して解説している。こちらはコミック版に対する愛情を感じるページ構成で、中学生の頃にコミック版をむさぼり読んだ自分にとっては懐かしい内容だった。またそれほど顧みられることの多くない小説版についても、各巻の内容をしっかり解説しており、全フォーマットの『パトレイバー』関連作品について見渡すことができる。

 さらに劇中に登場するレイバー各種についても、警察用レイバーの進化について見開きで解説。主役メカであるイングラムの進化・発達は「TV版・NEW OVA・EZY」の流れと「OVA・劇場版」の流れとに分かれており、ここを整理しつつ『EZY』のイングラムがどの立ち位置にいるのかを説明しているのはわかりやすい。さらにテレビ版・新旧OVA、劇場版とどの作品に登場したかをタグづけしつつ、篠原重工、菱井インダストリー、シャフト・エンタープライズなど各企業ごとに分類して紹介。登場メカの解説としても、コンパクトにまとまっている。

 そのほかにも、シリーズ構成・脚本を担当した伊藤和典やキャラクターデザインを担当した高田明美など、HEADGEARの主要メンバーのインタビューも充実。また、OVAと劇場版でプロデューサーを務め、現在は株式会社ジェンコの代表取締役として『EZY』のプロデュースも担当した真木太郎氏のインタビューは、『パトレイバー』という企画の立ち上げ当時の空気感が伝わる貴重なものとなっている。

 さらに『パトレイバー』関連記事ではないものの、新しく製作された『攻殻機動隊』でシリーズ構成・脚本を担当している円城塔氏のインタビューも読み応え抜群。『パトレイバー』と『攻殻機動隊』ということで、1980年代末期のSFコンテンツが組み合わさった一冊ということもできそうだ。

 『パトレイバー』シリーズのオールドファンが読んでも面白く、『EZY』から見るという人には基礎資料としてうってつけという、まさにこのタイミングで発売される意味のあるムックと言える本書。新作鑑賞のお供として、購入をオススメしたい内容である。

■書誌情報
週刊文春エンタ+ 特集『機動警察パトレイバー』
価格:2,200円
発売日:2026年5月15日
出版社:文藝春秋(文春ムック)

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