【文芸書ランキング】雨穴『変な地図』が50万部突破 「読む」を超えた体験型小説の隆盛
2026年3月第2週のオリコン文芸書ランキング(※1)の第1位は若林正恭の『青天』(文藝春秋)で、同書は4週連続で文芸書のトップを飾った。その他のランクイン作品は本屋大賞ノミネート作品、直木賞受賞作である嶋津輝『カフェーの帰り道』(東京創元社)などが占めている状況は変わらない。そのような中でも、昨年10月の発売からランクインを続けているのが雨穴の『変な地図』(双葉社)である。
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『変な地図』については当コーナーで何度も取り上げているが、2026年も引き続き話題を呼んでいる。最近ではオリコンランキングにおける累計売上部数が50万部を突破したことがニュースとなり(※2)、作者の雨穴も「前作からだいぶブランクが空いてしまったので、発売前は『もう忘れ去れているんじゃないか』とか『鳴かず飛ばずなんじゃないか』とかいろいろ不安だったのですが……。たくさんの方に手に取っていただけてとてもうれしく思います。」とコメントを寄せた。また世界17か国と地域での出版が決まっているなど、世界展開も活発な作品である。
図版や地図を多く盛り込んだ『変な地図』は、テキスト情報を追うだけに留まらない体験を読者に提供する本だ。文字以外の情報でひと味違う読書体験が出来る本は、2026年に入っても様々な企画が出ている。
先日、同コーナーでも紹介したヨルシカのn-bunaによる『二人称』(講談社)は32枚の封筒と約170枚の手紙が実際に同封されている書簡体小説だ(※3)。ARG(代替現実ゲーム)のクリエイター集団として注目を集めている「第四境界」は、3月18日に『人の財布~高畑朋子の場合~』(双葉社)を発売した。これは「第四境界」の代表作である「人の財布」の小説版で、他人の財布の中身を覗いていくような感覚で楽しむ作品になっている(※4)。こうしたユニークな企画と、『変な地図』の大ヒットを見る限りでは、文字を読む以外の体験でも楽しませる小説作品の隆盛はまだまだ続きそうだ。
※1 https://www.oricon.co.jp/rank/oba/w/2026-03-23/
※2 https://www.oricon.co.jp/news/2440258/full/
※3 https://realsound.jp/book/2026/03/post-2331789.html
※4 https://realsound.jp/book/2026/03/post-2341801.html
■書誌情報
『変な地図』
著者:雨穴
価格:1,760円
発売日:2025年10月31日
出版社:双葉社