【漫画】恋人が自分じゃない人を好きになった? 同性カップルの残酷な葛藤を描く『葉末と露』が切ない
同性カップルで仲良く暮らしていたはずが、1人が事故で記憶を失い事態は一変。記憶喪失の恋人を見て、「彼女はこのままの方が幸せなのでは」と感じてしまい……。
記憶喪失の恋人を見守る切ない百合漫画が、Xにアップされた。本作は、漫画家・宝町歌織(@takaramachi2020)氏が描く『葉末と露』の一幕だ。今回は宝町氏に、創作の経緯や印象に残っているシーンを聞いた。(青木圭介)
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ーー“記憶を失う”という設定で物語を描こうと思った経緯は?
宝町歌織:『葉末と露』は、露がグイグイいってなんぼの漫画なんです。そのうえで、「じゃあ露がグイグイいかなくなったらどうなるかな」と考えて、この設定になりました。そのときの葉末がどうするかも考えながら、2人の関係性を描けると思ったんです。
ーーすれ違いが残酷で切ない作品でしたが、描いていて印象に残っているシーンはありますか?
宝町歌織:露が葉末に他人と食事に行くことになったことを報告するシーンは、印象に残っています。露が記憶を失くしてしまったことに悲しみながらも、支えると誓った葉末。絶望しながら頑張る葉末がさらに落とされて、支えるのは「どうやら私じゃなくても良いらしい」と思わされるのが本当に辛いですよね。一番は読者さんをびっくりさせたいなと思って考えていたんですけど、ここは私も切なくなりながら描いていました。
ーー『葉末と露』を描くうえで大切にしていることは?
宝町歌織:今回のお話は少し違いますけど、『葉末と露』は基本的にはコメディなので、一番は大喜利的な面白さを大切にしています。ほとんどは3コマで物語になっている短編で、どれだけ3コマ目を面白くして落とせるかを考えて描いている感じです。軸として笑っていただける面白さを重視しているんですけど、葉末と露の関係性を楽しんでもらっている面もあるので、やりとりが楽しければそのまま進めることもあります。
ーー宝町氏が漫画を描き始めたきっかけは?
宝町歌織:小学2年生のときに「ChuChu」(小学館)で連載されていた、おおばやしみゆき先生の『さくら前線』を読んだんです。それがすごく面白くて、すぐ母に「これはどうやって作られているのか」と聞きました。そこで母に教えられる形で漫画家という職業を知って、そこから漫画家になりたいと思い描き始めました。
ーー最後に、『葉末と露』の今後の展望を教えてください。
宝町歌織:本作は、思いついたときに新話を描いて好きなタイミングで発表しています。今後もライフワークとして、納得のいく作品を描いていきたいです。
また私としては本作は「いつ見てもいい」作品にしたくて、「百合界の『こち亀』」を目指して頑張っていきます!
©︎宝町歌織/ナンバーナイン