【漫画】予約必須の印刷所に予約を忘れて持ち込んだら? ものづくりに携わる人への愛が尊い『ブー太と秘密の印刷所』
同人誌即売会は、クリエイターやスタッフ、来場者だけで作り上げられるものではない。同人誌を制作する印刷会社の存在も欠かせない。10月下旬にXに投稿された『ブー太と秘密の印刷所』は、同人誌の制作をサポートする印刷会社にスポットライトを当てた同人誌だ。
同人誌愛、即売会愛にあふれる本作の作者・ろぜこさん(@rosecoroseco)に、どのような経緯で制作したのかなどを聞いた。(望月悠木)
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印刷所も即売会を構成する大事なピース
――今回『ブー太と秘密の印刷所』を制作した経緯を教えてください。
ろぜこ:もともと、同人誌即売会「関西コミティア74」に出展のために別の作品を作っていたのですが、開催1ヶ月ほど前にその作品が出来がどうしても納得いかなかったんです。それで急遽『ブー太と秘密の印刷所』を描くことにしました。
――同人誌制作を舞台にした作品にした理由は?
ろぜこ:私は即売会が大好きで、サークルさんや一般参加者さん、即売会のスタッフさんが登場する漫画をよく描いているのですが、「印刷所さんも即売会を構成する大事なピースじゃない?」「印刷所さんの漫画も描きたいなー!」と前々から思っていました。
――もともと『ブー太と秘密の印刷所』の骨組みは、ある程度できていたと。
ろぜこ:そうです。以前、「関西コミティア」の運営スタッフさんから「『関西コミティア』のカタログに印刷所のレポート漫画を掲載したいのだけど、描かない?」と誘っていただいたことがあり、その際に印刷作業などを実際に取材させてもらいました。その取材中に、「手をつけずにいた『ブー太と秘密の印刷所』を今なら描けそうかな」と思い、今回制作することにしました。
——ストーリーはどのように決めていきましたか?
ろぜこ:「熱い想いを持った同人誌印刷所の人たちを描きたい!」というテーマがあったので、「どういうストーリー展開なら読者により伝わるのか? 楽しんでもらえるのか?」を考えながらストーリーを練りました。最初は、ブー太がお姉さんの原稿を手伝えない理由は「普通に仕事が忙しい」だったのですが、「お姉さんの知らないところで印刷所の手伝いをしていたら面白いかも」と思い、今回のようなストーリーになりました。
ブー太誕生秘話
——主人公は同人作家ですが、「主人公のモデルはろぜこさん」なのでしょうか?
ろぜこ:「モデルにしました」とまでは言い切れませんが、結果的に似てしまった部分は多いかもしれません。主人公に限らず、「私がお調子者のおじさんだったら、このシーンなんて言う?」「私が印刷所の社長でこの状況だったらどうする?」みたいに考えながら決めているので、みんなが私の気持ちを代弁してくれている感じです。
——ブー太はどのようにして生まれたのですか?
ろぜこ:ブー太とお姉さんは、先述した印刷所のレポート漫画に登場するキャラクターなんです。レポート漫画は教育テレビの子ども向けお仕事紹介番組のようにしたかったので、ニャンちゅうとお姉さんみたいな組み合わせを目指して生まれました。最初はネコとかイヌなど可愛い感じで考えていたのですが、「なんか違うな」「できるなら関西っぽいイメージがほしい」と思い、そんな折に冷凍庫の豚まんを発見して「これだな」とピンときました。
——ブー太のような同人仲間がいると、同人活動もとても楽しいものになりそうですね。
ろぜこ:「こんな創作仲間がいたら面白いだろうな」と思いながらセリフなどを決めました。作者の私が言うのもアレですが、「なかなかいい感じのキャラになったのかな」と思っています。私もブー太と友達になりたいです!
――今後の漫画制作における展望を教えてください。
ろぜこ:「これからも仕事の合間にぼちぼち作品を発表できたら」と思っています。休みの日に偶然私の作品を読んで「ろぜことかいうやつの漫画、ぼちぼち楽しめたな。明日からまた仕事やけど、まあがんばるか…」みたいに、ほんの少しでも前向きになった人がいれば、漫画を描いて大成功やなと感じます。