【漫画】33歳の婚活女子、結婚できないワケは? アドバイザーが本音でぶった斬る『運命など存在しないので』が面白い
なぜ、そんなに太っているのですか――。坊主頭にコワモテの結婚アドバイザー・柏木が悩める相談者たちに本音をぶつける漫画『運命など存在しないので』の第1話がXに投稿されている。
婚活を当事者ではなく現場のプロ視点から描いたこのエピソードは、意外にも取材なしで描かれたものだったという。単行本の第1巻発売を迎えた本作について作者・井原タクヤさん(@Takuya_Ihara114)に話を聞いた。(小池直也)
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――Xに投稿した手応えはいかがですか?
井原タクヤ(以下、井原):婚活については色々な意見があると思うので、議論したくなるような作品にできればと考えていました。そういう意味でも、Xに上げた第1話はたくさんの意見を聞くことができてよかったです。
――着想のきっかけについても教えてください。
井原:「ヤンマガWeb」で半年に一度開催される「Xコンペ」で連載が決まったんです。これはXで公開した作品のいいね数で連載権を争う企画で、そこで勝負するに当たり「SNSで興味を持たれる作品はどんなものだろう?」と考えたのが最初でした。
ただ誰が主人公でどういう話にするかは若干迷いましたね。最終的に婚活を描いた漫画は多いですが、多くが婚活の当事者を描いたものだなと気付いたんです。だから業界内部の視点で描いたものは珍しくて新鮮かなと。
――制作はどのように?
井原:現在は事業者さんへの取材をしながら描いているのですが、第1話に関しては書籍やYouTubeなどの資料をもとに、「なぜ寄り添い型の事業者が多いのか?」ということを自分なりに推論して作りました。
特定のモデルがいるわけではないのですが、最近は相談者にとって不都合な真実を言ってしまうようなアドバイザーの方が人気で。そういった方々は参考になった気がします。
――苦労した点などはありましたか。
井原:やっぱり物語展開は試行錯誤しましたね。最初は仕事を首になって彼女にもフラれたダメダメな主人公が運命の赤い糸が見える特殊能力を身に付けて――というアイデアもあったんですよ(笑)。結論が見えているけど、くっつかなさそうなふたりをどう結婚させるかみたいな。
でも編集さんの「僕、そもそも運命の赤い糸を信じてないんですよね」という一言がきっかけで、「じゃあ運命なんて存在しない」という切り口で描けばいいのかもと思えたんです。それで考えていったら自然と事業者さん視点の物語になっていきました。
――苦労があったとはいえ、楽しそうに連載されているように感じますが。
井原:今年の春まで会社員だったんですよ。30代からのスタートなので遅咲きではありますが、その分だけ社会人経験があったからチャレンジできている作品だと思うのでやりがいを感じてます。
実際に婚活業界で働いたことはなくても、いち社会人として共感してもらえることも多いのではないかなと。
――その後に取材してみて理解できたこともありました?
井原:表には見えない努力や葛藤、工夫があふれているなと驚きました。一定の年齢差の相手の申し込みを遮断するシステムを第2話で「おぢブロック」として描きましたが、それもよくある仕組みのようです。知れば知るほど奥の深い業界だなと感じてますね。
――今後『運命など存在しないので』はどう描いていきます?
井原:お仕事漫画として婚活を描く作品はまだまだ少ないので、このジャンルの金字塔的なものができれば嬉しいですね。新人のくせに大きなことを言ってしまいましたが、理想はそこを目指して連載を続けていければと思います。
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